病院長ごあいさつ

国立がん研究センター中央病院はがん診療のリーディングホスピタルとして、最新のがん医療を全国に普及し、医師、看護師、薬剤師をはじめ多数の優れた専門医療従事者を数多く育成してまいりました。同時に、臨床研究中核病院として、国際共同臨床研究実施推進事業に採択された施設として、次世代のがん医療の開発に向けて、世界トップレベルの質と量の臨床研究や治験を自ら実施し、なおかつ他施設の研究支援も行っています。今、がん医療は一人ひとりのゲノム情報に基づく個別化医療へとパラダイムシフトが起きつつあります。中央病院は、がんのゲノム医療を実現し、個々のがんの特性に合ったがん医療(precision medicine)を提供できる体制を造っています。
企業や大学等が取り組みがたい希少がんや難治は、未だ診断や治療が確立していないものも多く、医療情報も不十分です。中央病院は、希少がんセンターを中心に、正しい、より最新の医療情報を患者さんや家族に届けるとともに、信頼できる質の高い医療を提供しております。加えて、unmet medical needsの多いこれら疾患に対しても、MASTER KEY Project等を通じて、より効果があり、より患者に優しい新規医療開発も行っております。
がんと言う病では、「病気」以外にも多くの苦痛や不安、就労も含め生活上の不具合が生じることがあります。中央病院では、がんの治療に加えがん患者さんや家族のこの様な苦痛を軽減し、或いは取り除くべく、必要とされる最良の支援を提供しております。例えば、2016年9月には、病院棟8階に、ケアや支持療法をone-stopで提供をする「患者サポート研究開発センター」を開設しました。ここでは従来の病院にはない時空間の中、多職種によるチーム医療を通して、患者さんが本当に必要とする支援、QOL改善やがんの緩和に資する医療が提供されています。同時に、ケアや緩和、支持療法の領域は確立したエビデンスが少ないため、J-Supportを中心に多方面で支持療法の開発にも取り組んでおります。この様な医療開発は医療者だけではできません。患者さんと医療者が一緒になって取り組むことではじめて、より良い明日のがん医療を創ることができます。どうぞご理解とご協力よろしくお願い申し上げます。
患者さんにとって信頼される医療者であり、病院であることを目指し、世界最高の医療を提供し、患者さんの役に立つ医療を造るべく職員一同全力で取り組んでおります。
皆様方のあたたかいご支援とご助言を心よりお願い申し上げます。
国立がん研究センター中央病院
病院長 西田 俊朗