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メンバー紹介

ラボ文化
臨床の現場で生まれた問いを、分子メカニズムで解き明かす場所。
国立がん研究センターの中で、私たちは 臨床の最前線から立ち上がる「治療法のない患者さんへの問い」 を起点に、それを 分子メカニズムのレベルまで解き明かし、創薬シーズへとつなげる ことを使命としています。
このラボには、医学・薬学・理学・情報科学など、異なるバックグラウンドを持つ研究者・大学院生が集まっています。それぞれが持ち寄る視点と技術は異なりますが、「がん患者さんに届く治療を、自分たちの手で創り出す」 という一点で共通しています。
私たちが大切にしているのは、次の 3 つです。
- 問いの深さを尊重する文化 ── 「効くこと」だけで満足せず、「なぜ効くか」を最後まで追究する。論文を一本仕上げるたびに、そのテーマの理解が一段深くなる議論を、ラボ全員で重ねます。
- 手を動かす人と、考える人を分けない ── 実験のディスカッションには、PI も特任研究員も大学院生もフラットに参加します。階層に縛られない議論こそが、独自の発想を生む土壌だと考えています。
- 小さな研究室の機動力 ── 標的探索からメカニズム解析、化合物評価まで、研究室の中で一気通貫に実施できます。仮説を立てて、検証して、修正するサイクルを短く回せることが、小規模ラボの強みです。
ラボ文化のキーワード
- 医・薬・理の融合 ── 異なる視点が交差する研究環境
- フラットな議論 ── PI 直接指導と、メンバー間の対等な対話
- 標的探索 → メカニズム解明 → 創薬シーズ導出を一気通貫で実施
分野長(PI)紹介
荻原 秀明(OGIWARA Hideaki, Ph.D.)
職位: 国立がん研究センター研究所 がん治療学研究分野 分野長 専門: 腫瘍治療学/合成致死/クロマチン制御/創薬標的探索
本セクションは、ラボ運営の哲学 に焦点を当てた PI 紹介です。荻原秀明 分野長個人の 学歴・経歴・受賞歴・主な競争的資金・主要論文・PI からのメッセージ については、専用の PI 個人ページ に集約しています。あわせてご参照ください。
研究の起点と現在地
合成致死(がん細胞特有の脆弱性を治療標的とする戦略)の研究に着手したのは、2010 年代初頭、まだ「合成致死」という概念が国内で広く知られていなかった時期でした。SWI/SNF クロマチンリモデリング複合体の欠損を起点に、CBP/p300 のパラログ依存性(Cancer Discov 2016)、ARID1A 欠損がんのグルタチオン代謝脆弱性(Cancer Cell 2019)、CBP/p300 のパラログ同時阻害法(Nat Commun 2024)── と、研究室の歩みは「標的を見つけるだけでなく、なぜそこが脆弱なのかを最後まで解き明かす」という一貫した姿勢で続いてきました。
現在は、パラログ同時阻害法 という独自概念を、SWI/SNF 系から KRAS 変異・SMAD4 欠損・KDM6A 欠損まで適用範囲を広げて展開しています。希少がん・小児がんから、難治性固形がんへ ── 「治療の選択肢がなかった患者さんへ届く薬を、自分たちの手で創り出す」ための仕事を続けています。
ラボ運営の哲学
- 「新しい治療原理の発見」と「患者さんに届く薬」を、同じ手で創り出す ── 基礎研究の野心と、トランスレーショナルへの実装を、別物として切り分けない研究室です。
- メンバーの主体性を尊重する ── テーマ設定の段階から、メンバーの研究関心とラボの方向性をすり合わせます。「与えられた仕事をする」のではなく「自分のテーマとして責任を持つ」ことを大切にします。
- 論文を、研究者としての通過点として書き切る ── 高インパクト誌を意識したロジカルライティングを、ドラフトの段階から徹底して指導します。論文は、研究者としてのキャリアの礎となる成果物です。
一言メッセージ
「新しい治療原理を見いだし、世界へ発信する研究を、ここから一緒に進めましょう。」
関連リンク
- PI 個人ページ(経歴・受賞・研究費・主要論文・哲学的メッセージはこちら): 荻原 秀明 個人ページ
- 論文業績(PubMed): Hideaki Ogiwara on PubMed
- 研究の全体像: 研究プロジェクト / 研究ハイライト
メンバー紹介
専門性を持ち寄り、標的探索から創薬シーズまでを動かすチーム
がん治療学研究分野では、標的探索、CRISPR/Cas9 スクリーニング、クローニング、細胞株モデル構築、薬効評価、タンパク質解析、代謝解析など、多層的な実験系を組み合わせて研究を進めています。
各メンバーは、それぞれに得意領域を持ちながらも、特定の技術だけに閉じるのではなく、プロジェクトの目的に応じて複数の実験技術を横断的に扱います。互いのデータを理解し、議論しながら、標的探索からメカニズム解析、創薬シーズ化までを一つの流れとして進めることを重視しています。
以下、各メンバーの主な役割と得意領域を紹介します。
ユニット長
竹内 麻里子(TAKEUCHI Mariko, Ph.D.)
複数のプロジェクトを牽引する、研究室の推進力
SMARCB1 欠損希少がんにおけるグルタチオン代謝脆弱性研究、および CBP/p300 パラログ同時阻害法の研究を中心的に推進してきた研究員です。標的探索、薬効評価、メカニズム解析、論文構成までを一貫して見通し、複数のプロジェクトを同時に進める実行力で、研究室の中核を担っています。希少がん・小児がんのようにモデルや情報が限られる領域において、細胞株の特性を丁寧に読み取り、次に進めるべき実験を判断する力に優れています。
- 担当: クロマチン制御、代謝脆弱性、SMARCB1 欠損希少がん、小児がんプロジェクト
- 主な成果: Cancer Research 2026 / Nature Communications 2024
特任研究員
得意領域を軸に、プロジェクト全体を支える研究員
特任研究員は、それぞれに主軸となる技術を持ちながら、実際には細胞培養、分子生物学、ゲノム編集、薬効評価、タンパク質解析など、複数の実験系を横断して研究を進めています。ここでは、研究室の特徴的な技術を紹介する意味も込めて、各メンバーの得意領域を中心に紹介します。
平野 晴美(HIRANO Harumi)
ゲノム編集と分子構築を軸に、標的探索を実験系へ落とし込む研究員
CRISPR/Cas9、クローニング、細胞株構築を主軸に、候補標的を実験的に検証可能な形へ落とし込む研究員です。パラログペア同時ノックアウトベクターライブラリーの構築、CRISPR スクリーニングの実装、検証ノックアウト株の作製など、研究室の標的探索基盤を支えています。ゲノム編集だけでなく、薬効評価や分子生物学的解析も横断的に担い、標的探索からメカニズム解析までをつなぐ役割を果たしています。
- 代表業績: ARID1A 欠損びまん性胃がんにおけるピリミジン代謝脆弱性研究(Molecular Cancer Research 2026、第一著者)
沖本 克枝(OKIMOTO Yoshie, Ph.D.)
タンパク質解析と生化学的検証で、メカニズムの確からしさを支える研究員
タンパク質発現解析やウェスタンブロットを主軸に、薬剤処理や遺伝子改変によって細胞内で何が起きているかを生化学的に検証する研究員です。薬効評価で得られた現象を、分子メカニズムとして説明するための重要なデータを支えています。標的分子の発現変化、シグナル伝達経路の活性化状態、薬剤処理後のタンパク質レベルの変化を丁寧に確認することで、研究全体の説得力を高める役割を担っています。
冨永 明里(TOMINAGA Akari)
細胞株パネルと薬効評価を支え、研究の再現性を生み出す研究員
がん細胞株培養と薬剤感受性評価を主軸に、研究室独自の細胞株パネルを用いた in vitro 解析を支える研究員です。合成致死研究では、1 つの細胞株で見えた現象が、複数の遺伝子背景やがん種で再現するかを検証することが重要です。細胞の状態を安定して保ち、比較可能な条件で薬効データを取得することで、標的探索から化合物評価までを支えています。
特任研究補助員
増田 日菜子(MASUDA Hinako)
研究が止まらない環境を整える、ラボ運営の中核
試薬・消耗品管理、経理、共通機器運用、実験サポートを通じて、研究室全体の活動を支える特任研究補助員です。研究は、必要な試薬が必要な時にあること、共通機器が使える状態に保たれていること、手続きが正確に進むことによって支えられています。研究員が研究に集中できる環境を整え、「研究を止めない」ラボ運営の中核を担っています。
連携大学院生
大学院生は、ラボの研究を担う中核メンバー
私たちは、複数の大学院との連携協定のもと、博士課程・修士課程の大学院生を継続的に受け入れています。連携大学院生は、所属大学に学籍を置きながら、当研究室で研究活動を行う 仕組みです(ラボでの研究指導は分野長 荻原が担当します)。
現在の連携大学院生
和久 貴亮(WAKU Takaaki) ── 長崎大学 大学院(博士課程)- 研究テーマ: バイオインフォマティクス解析に基づいた新規合成致死標的の探索
- 使用技術: DepMap データ再解析
- 研究テーマ: 食道がんにおける新規合成致死標的の探索
- 使用技術: データベースに基づいた創薬標的スクリーニング
連携大学院制度
当研究室は、東京科学大学、長崎大学などの連携大学院との間で大学院生の受け入れに関する連携体制を整えています。各大学院の連携経路、出願時期、選考プロセスは大学ごとに異なります。
卒業生のキャリア
多様なキャリアパスへ ── ラボでの経験を、それぞれの場所で活かす
これまでに当研究室で研究を行った大学院生・ポスドクは、様々な臨床現場、アカデミア、企業などで活躍しています。
キャリア観のメッセージ
私たちは、卒業生が 「ラボ卒業時点でどんなキャリアを選ぶか」よりも、「将来、自分の選んだ場所で活躍する力を、ここで身につけられるか」 を重視しています。臨床に戻る人も、アカデミアに残る人も、企業に進む人も、当研究室で培った 「メカニズムを解き明かす力」と「データから意味を読み取る力」 を、それぞれの場所で活かしてくれることが、私たちの最大の喜びです。
大学院生・ポスドク募集について
「効くこと」と「なぜ効くか」を、同じ手で解き明かす経験を、あなたへ。
当研究室では、熱意ある大学院生・ポスドク・特任研究員 を継続的に募集しています。バックグラウンドは医・薬・理・情報科学のいずれでも歓迎します。重要なのは、「がん治療を、自分の研究で動かしたい」という主体性 です。
進学経路の選択でお悩みの場合は、まず分野長 荻原までメールでご相談ください。あなたのバックグラウンド・研究関心・希望する学位レベルに応じて、最適な進学経路をご一緒に検討します。
メンタリング方針
研究室の規模が小さいことを活かし、PI(荻原)が直接、各メンバーの研究指導を行う 体制を取っています。メンタリングの基本方針は以下の通りです。
- テーマ設定段階での丁寧なすり合わせ ── 着任・進学後の最初の数週間で、メンバーの研究関心とラボの方向性を擦り合わせ、主担当テーマを決定します。「与えられた仕事」ではなく「自分のテーマ」として進められるよう、テーマ設計の段階から議論します。
- 定期的な研究進捗ディスカッション ── PI と各メンバーの間で、進捗議論の機会を定期的に持ちます。実験の方向性、データ解釈、次のステップを、双方向で詰めていきます。
- 論文執筆指導 ── 高インパクト誌を意識したロジカルライティング指導を、ドラフトの段階から徹底します。Figure の構成・本文の論理構造・Discussion の組み立てまで、PI と一緒に磨き上げていきます。
応募・見学のご相談
応募・見学のご相談手順(事前メール/ラボ見学・面談/正式応募の 3 ステップ)については、お問い合わせ・アクセスページ「採用のお問い合わせ」 をご参照ください。
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最終更新日: 2026-05-16

