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Susumu Kobayashi,MD, PhD
小林 進
Susumu Kobayashi,MD, PhD
近年の科学の進歩によって、がんを引き起こす原因となる異常なタンパクがあることがわかってきました。そのタンパクだけを狙い撃ちする分子標的療法が様々ながんで大きな効果を上げています。しかし、一度は効いたはずの薬がそのうち効かなくなってしまうケースが多く見られます。例えば、上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor: EGFR)というタンパクに感受性変異のある肺がんの患者さんは、EGFR阻害剤(ゲフィチニブやエルロチニブ)がたいへん良く効くのですが、ほぼ全員が再発します。私たちはこうした患者さんたちのがんを調べさせていただくことによって、EGFRキナーゼ阻害剤に耐性を引き起こす遺伝子の変化(T790M)を発見しました。この発見が、新たなEGFR阻害剤オシメルチニブの開発につながり、肺がんの治療に役立っています。しかしまだまだ完治には程遠いのが現状です。私たちは、がん患者さんの予後改善のため、このような薬剤耐性はなぜ起こるのか、それをどのように克服したらよいのかを日々考えています。
職名
- ゲノムトランスレーショナルリサーチ(TR)分野長(柏)
- ハーバード医学大学院(米国ボストン)准教授
- ベス・イスラエル・デコネス医療センター(米国ボストン)肺がん研究プログラムディレクター
専門領域
- 腫瘍学
- 血液学
キーワード
- 白血病
- 非小細胞肺がん
- 転写因子
- アポトーシス
- EGFR
- T790M
現在の主な研究テーマ
- 分子標的療法の作用機序と耐性獲得
- がんにおける転写因子の異常と治療への応用
- ヒストンアセチルトランスフェラーゼの異常によるがん発生メカニズム
- がんにおけるNon-coding RNAの役割
略歴
平成 6年(1994年) 京都大学医学部 卒業
同年 京都大学医学部附属病院(内科研修医)
平成7年(1995年) 兵庫県立尼崎病院(現・尼崎総合医療センター)
平成13年(2001年) 京都大学大学院医学研究科 (内科系血液病態学)
博士課程所定の単位修得及び研究指導認定
平成13年(2001年) 松寿会共和病院
平成14年(2002年) Beth Israel Deaconess Medical Center研究員
平成18年(2006年) Harvard Medical School・Instructor
平成21年(2009年) Harvard Medical School・Assistant professor
平成28年(2016年) Co-Director, Lung Cancer Research Program
Beth Israel Deaconess Medical Center
平成29年(2017年) Harvard Medical School・Associate Professor
平成30年(2018年) 国立がん研究センター・先端医療開発開発センター
ゲノムトランスレーショナル分野・分野長
主な所属学会
- 日本癌学会
- 日本血液学会
- 日本肺がん学会
- 日本臨床腫瘍学会
- 日本がん分子標的治療学会
- American Association for Cancer Research
- American Society of Clinical Oncology
- American Society of Hematology
- Internal Association for the Study of Lung Cancer
主な論文
論文はこちら
主な受賞歴
平成18年(2006年) AACR Merck Scholar-in-Training Award
平成21年(2009年) Micheal R. Pascucci Lung Cancer Association Award
平成22年(2010年) アメリカがん学会・チーム・サイエンス・アワード