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国立がん研究センター 中央病院

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網羅的遺伝子検査の院内臨床研究「TOP-GEAR(トップギア)プロジェクト」について

中央病院では、1998年より遺伝子相談外来を設置し、遺伝性のがんについての相談、遺伝子検査、早期発見等の診療支援、臨床試験への協力などを行ってきました。その後、一度に多くの遺伝子を検査できる次世代シークエンサー(NGS)が普及し、遺伝性のがん以外の様々ながんにおけるゲノム診療も発展し、世界的に医療の在り方が大きく変わりました。

当院では、2013年よりTOP-GEAR(Trial of Onco-Panel for Gene-profiling to Estimate both Adverse events and Response)プロジェクトを立ち上げ、日本では先駆けとなるがん関連多遺伝子パネル検査(NCCオンコパネル)の開発と実施を進めてまいりました。

本プロジェクトでは、このNCCオンコパネルを利用して、一度に多くの遺伝子異常を調べ、個々のがん患者さんの遺伝子異常に基づく「個別化治療」へつながることが期待されています。

第1期

2013年7月~2014年10月はTOP-GEARプロジェクトの第1期にあたり、この時期にはNCCオンコパネルの多遺伝子パネル検査としての有用性を検証することを主な目的としていました。臨床試験(治験)に参加する可能性がある中央病院の患者さんについて、NCCオンコパネル検査を研究所内で実施、得られた結果に基づいて遺伝子異常別に臨床試験(治験)に参加できるような仕組みづくりを行いました。

結果、131名の患者さんに検査が行われ、半数の方に何らかの遺伝子異常がみつかりました。また、11名の患者さんは個々の遺伝子異常に合う臨床試験(治験)に参加することができ、そのような患者さんでは、治療効果も得られました。

第2期

移行期を経て2016年5月からのTOP-GEARプロジェクト第2期では、研究所で検査を行っていた第1期とは異なり、国際的な検査に関する品質基準を満たす遺伝子検査室(SCI-Lab)(エスシーアイーラボ)をシスメックス社、理研ジェネシス社と協同して、中央病院内に作り、検査を行なうようにしました。さらにその後、より多くの患者さんに「個別化治療」を提供できるように、思春期・若年成人患者さん(AYA世代の患者)、さらに2017年11月より1歳以上の小児のがん患者さんも検査が受けられる体制となりました。

一度に検査できる遺伝子の種類も徐々に増え、現在のNCCオンコパネルVer.4では114個の遺伝子の変異・増幅(うち、12個については、遺伝子の融合も)を調べることができます。

2016年5月~2017年5月の間では200名以上の患者さんがプロジェクトに参加され、遺伝子解析を行うことができた患者さんのうち、約半数で治療選択に役立つ遺伝子異常が発見されました。

さらに、全体の約10%の患者さんが個々の遺伝子異常に合う治療を受けることができました。これは米国で行われている同様の多遺伝子解析プロジェクトと同等の結果です。

第3期

TOP-GEARプロジェクトの第3期では、NCCオンコパネルを利用した多遺伝子パネル検査を国民皆保険制度の下で実施することを目的に、2018年4月からは厚生労働省の先進医療Bの枠組で開始しました。

現在は中央病院でのみで行っている先進医療Bとしての検査も、今後は東病院も含んだ全国の医療機関での実施が可能となることが見込まれます。

その結果でNCCオンコパネルが診療において有用であることが示され、NCCオンコパネルの薬事承認取得・保険償還につながることで、全国のがん患者さんに品質が保証された多遺伝子パネル検査を用いる個別化医療が広く提供される時代が来ることを我々は切に願っております。

なお、先進医療Bとして多遺伝子パネル検査を受けられる患者さんは16歳以上の方となっておりますが、16歳未満の患者さんは引き続きTOP-GEARプロジェクト内で多遺伝子パネル検査を受けることができますので、担当医にお申し出ください。

TOP-GEARの歴史