コンテンツにジャンプ
国立がん研究センター 中央病院

トップページ > がんゲノム医療 > 当院での取組みの歴史

当院での取組みの歴史

IMG_7057.jpg

中央病院では、1998年より遺伝子相談外来を設置し、遺伝性のがんについての相談、遺伝子検査、早期発見等の診療支援、臨床試験への協力などを行ってきました。その後、一度に多くの遺伝子を検査できる次世代シークエンサー(NGS)が普及し、遺伝性のがん以外の様々ながんにおけるゲノム診療も発展し、世界的に医療の在り方が大きく変わりました。

当院では、2013年よりTOP-GEAR(Trial of Onco-Panel for Gene-profiling to Estimate both Adverse events and Response)プロジェクトを立ち上げ、日本では先駆けとなるがん関連多遺伝子パネル検査(NCCオンコパネル)の開発と実施を進めてまいりました。

本プロジェクトでは、このNCCオンコパネルを利用して、一度に多くの遺伝子異常を調べ、個々のがん患者さんの遺伝子異常に基づく「個別化治療」へつながることが期待されています。

TOP-GEARプロジェクトの成果もあり2019年6月1日にNCCオンコパネルは「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム(シスメックス株式会社)」として保険収載されました。今後のTOP-GEARプロジェクトでは小児腫瘍に特化したがん遺伝子パネル検査の開発などを計画しています。

第1期

2013年7月~2014年10月はTOP-GEARプロジェクトの第1期にあたり、この時期にはNCCオンコパネルの多遺伝子パネル検査としての有用性を検証することを主な目的としていました。臨床試験(治験)に参加する可能性がある中央病院の患者さんについて、NCCオンコパネル検査を研究所内で実施、得られた結果に基づいて遺伝子異常別に臨床試験(治験)に参加できるような仕組みづくりを行いました。

結果、131名の患者さんに検査が行われ、半数の方に何らかの遺伝子異常がみつかりました。また、11名の患者さんは個々の遺伝子異常に合う臨床試験(治験)に参加することができ、そのような患者さんでは、治療効果も得られました。

第2期

移行期を経て2016年5月からのTOP-GEARプロジェクト第2期では、研究所で検査を行っていた第1期とは異なり、国際的な検査に関する品質基準を満たす遺伝子検査室(SCI-Lab)(エスシーアイーラボ)をシスメックス社、理研ジェネシス社と協同して、中央病院内に作り、検査を行なうようにしました。さらにその後、より多くの患者さんに「個別化治療」を提供できるように、思春期・若年成人患者さん(AYA世代の患者)、さらに2017年11月より1歳以上の小児のがん患者さんも検査が受けられる体制となりました。

一度に検査できる遺伝子の種類も徐々に増え、現在のNCCオンコパネルVer.4では114個の遺伝子の変異・増幅(うち、12個については、遺伝子の融合も)を調べることができます。

2016年5月から2017年5月の間では200名以上の患者さんがプロジェクトに参加され、遺伝子解析を行うことができた患者さんのうち、約半数で治療選択に役立つ遺伝子異常が発見されました。

さらに、全体の約10%の患者さんが個々の遺伝子異常に合う治療を受けることができました。これは米国で行われている同様の多遺伝子解析プロジェクトと同等の結果です。

第3期/先進医療

2018年4月からはTOP-GEARプロジェクトの第3期として、がん遺伝子パネル検査の保険収載を目的に先進医療Bの枠組で実施しました。 2018年12月までの期間で、東病院を含む全国50の医療機関から約350例の患者さんが参加されました。2019年8月現在、新規患者さんの登録は終了し、結果の集計を行っています。

なお、先進医療の対象となる患者さんは16歳以上の方だったため、16歳未満の患者さんは第2期に引き続き、臨床研究としてNCCオンコパネル検査を実施しました。

TOP-GEARの歴史