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国立がん研究センター 東病院

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膵がん

「膵がん」とは膵臓にできる悪性の腫瘍ですが、専門的には「浸潤性膵管(しんじゅんせいすいかん)がん」と呼ばれます。浸潤性膵管がんは、膵液の通り道である膵管から発生します。膵臓にできる腫瘍の90パーセントを占めます。

全国統計では肺がん、大腸がん、胃がんについで死因の第4位となっています。わが国の膵がんは近年増加傾向にあり、毎年3万人以上の方が膵がんで亡くなっています。膵がんの死亡数はこの30年で8倍以上に増加しました。膵がんと新たに診断される人数は、男性では1年間に10万人あたり約29人、女性では1年間に10万人あたり約26人です。

年齢別では、60歳頃から増え、高齢になるほど多くなります。膵がんの発症には、喫煙、膵がんの家族歴、糖尿病、慢性膵炎などとの関連が言われています。

症状について

膵がんは、特徴的な症状がないことから早期発見が難しいがんのひとつです。早期の状態では、腹部違和感や食欲不振、体重減少などが出ることがありますが、他の病気でも起こるような症状がほとんどです。ある程度進行すると、膵管がふさがれて腹痛を起こしたり、胆管がふさがれて「黄疸(おうだん)」(からだに胆汁が溜まって皮膚や白目の色が黄色くなること)を起こしたりすることがあります。

また、糖尿病を発症したり、もともと糖尿病がある場合は血糖のコントロールが悪くなったりすることもあります。更に進行すると十二指腸がふさがれてお食事が摂れなくなったり、背中側の神経に広がって背中が痛んだり、おなかに水が溜まったりすることもあります。

検査について

膵がんの診断には血液検査、超音波検査、CT、MRI、また必要に応じて内視鏡的膵管造影(すいかんぞうえい)、超音波内視鏡などの検査が行われます。血液検査では一般的な項目に加えて、CEAやCA19-9という腫瘍マーカーも測定します。腫瘍マーカーとは、一般にがんの勢い、進行度を反映する(必ずしもそうでないこともあります)数値と言われています。これらの検査を組み合わせて、膵がんの進行度、転移がないかどうかや膵臓の近くの主要な血管との関係を調べます。精密検査の結果を踏まえて、患者さんお一人お一人に合った治療法を検討します。

 

膵がん取り扱い規約

0期 がんが膵管の上皮内にとどまっているもの(非浸潤がん)。
IA期 腫瘍が膵臓に限局しており、2センチメートル以下で、リンパ節転移がない。
IB期 腫瘍が膵臓に限局しているが、2センチメートル以上で、リンパ節転移がない。
IIA期 腫瘍が膵臓をこえて進展するが、膵臓の近くの主要な血管には及ばない。リンパ節転移がない
IIB期 腫瘍が膵臓に限局しているか、膵臓をこえても近くの主要な血管には及ばない。リンパ節転移がある。
III期 腫瘍が膵臓の近くの主要な血管に及ぶ。
IV期 他の臓器や膵臓から遠く離れたリンパ節に転移がある。

膵がん取扱い規約(第7版)日本膵臓学会

治療について

膵がんの治療は、がんの状態や進行度などによって異なります。精密検査の結果、膵がんが膵臓内に限られている場合、手術が最も「根治的な(治る可能性のある)」治療法となります。

当院では、外科切除可能な膵がんの患者さんは、原則的に初診から1週間から2週間以内に一通りの精密検査を行って、治療方針を決定して、体調管理の期間を含めて初診から3週間から4週間以内に手術を行えるよう、調整しています。

精密検査の結果、他の臓器に転移が見つかった場合や、がんが膵臓の近くの主要な血管に広がっている場合は、手術よりも全身化学療法(抗がん剤)や放射線療法の方がお勧めされます。最近では、始めに抗がん剤治療を行い、薬の効き具合を見て手術を行うことを勧める患者さんも増えています。

また、手術の後にも抗がん剤を行うことで、膵がんが根治する可能性がより高まります。当院では肝胆膵内科放射線診断科放射線治療科の医師とも密に連携して、膵がんを根治させるためにチーム医療で「集学的治療(手術や抗がん剤、放射線治療などを適宜組み合わせて治療を進めること)」に取り組んでいます。

 

当院では、さらなる治療成績向上を目指し、膵臓の近くの主要な血管に広がる「切除可能境界型」膵がんの患者さんに対して、術前に全身化学療法あるいは化学放射線療法の有効性を検証する多施設共同臨床試験を行っているところです。

治療成績

当院における膵がん切除患者さんの生存率グラフ(2006年から2015年)

あくまでも統計的なデータですが、当院で膵がんの手術を受けられた患者さんの5年生存率は35パーセントです。(2019年11月現在)

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