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国立がん研究センター東病院ロボット支援手術(ダ・ヴィンチ)の実績

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がんの手術治療には、根治性とQOL(quality of life=生活の質)の維持の両立が求められます。患者さんの体への負担と合併症のリスクを最小限にし、回復の早い手術(低侵襲手術)を外科医は常に追い求めています。低侵襲手術の回答の一つとして、ロボット支援手術が導入され、急激な進歩をみせています。国立がん研究センター東病院は、2014年より手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ(da Vinci Surgical System)」を導入し、2019年9月末には最新モデルの「ダ・ヴィンチXi 」2台体制となりました。手術技術・麻酔・術後管理すべてが向上し、より高度で複雑な手術もロボット支援手術の対象となってきました。着実な手術件数の増加に伴い、より多くの患者さんにロボット支援手術を届けるために、2022年11月にダ・ヴィンチXi3台体制としました。

現在、多数の診療科で、ロボット支援手術の件数が増加しており、2023年度は、月70件弱の件数となっております。特に泌尿器科、胃外科、食道外科では同手術が、手術の主体となっております。より高難度な手術をロボットで施行する機会が増えておりますが、部門横断的なロボットワーキンググループを立ち上げ、安全かつ質の高い手術を患者さんに提供できるように最大限の努力をしております。

当院では、最新の設備、経験豊富な術者、十分な実績が揃っておりますが、より安全で確実なロボット支援手術を患者さんに提供できるよう、診療科・部門の垣根を越えて、日々研鑽を積んでおります。

 ロボット手術ワーキンググループ長 増田 均

目次

ロボット支援手術のメリット

身体への負担が少ない

ロボット支援手術は、患者さんの体に小さな穴を開けて行う、傷口が小さい低侵襲(ていしんしゅう)の手術です。そのため、開胸手術や開腹手術に比べて手術痕はほとんど目立たず、より少ない出血量で術後の痛みも軽くなります。

  • ロボット支援手術のメリット01

    開胸手術

  • ロボット支援手術のメリット02

    ロボット手術

開胸手術(左)とロボット手術(右)の傷口の違い

精度の高い手術

術者は隣のコンソールから、術野の3D画像を見ながら、4本のロボットアームを遠隔操作します。術者の精密な手の動きを再現しつつ、ダヴィンチ・システム独自の機能で術者の手ぶれも防止されるため、従来の腹腔鏡(ふくくうきょう)下手術より精密な操作が可能となります。

ダ・ヴィンチによる手術症例見学施設認定

国立がん研究センター東病院 胃外科ならびに泌尿器・後腹膜腫瘍科は、ダ・ヴィンチを用いた泌尿器がん手術の技術および実績が評価され、製造元であるインテュイティブサージカル社(米国・カリフォルニア州)より、内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチXiシステム」を用いた手術症例見学施設の認定を受けております。詳細は、両診療科のホームページをご覧ください。

実施診療科からのメッセージ・適応疾患

頭頸部外科長 松浦 一登(まつうら かずと)

松浦一登先生



 

頭頸部外科でロボット支援手術の対象としているのは咽頭がん、および喉頭がんです。なかでも中咽頭がんが主な対象となります。手術は、口の中から手術機器を挿入しておこないます(経口的手術)。
経口的手術を行う場合、手術スペースが小さいことが手術操作を困難にしています。しかし、ロボット支援下では、多関節のロボットアームにより、狭いスペースでも高精度な手術を行えることがメリットです。これにより、切除後の機能障害を少なくすることが出来ると考えております。安全性に最大限配慮しつつ、実施します。ご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。

頭頸部外科HP

適応疾患/術式(保険適用)

  • 咽頭悪性腫瘍/鏡視下咽頭悪性腫瘍切除術
  • 喉頭悪性腫瘍/鏡視下喉頭悪性腫瘍切除術
    • 適応疾患・術式 咽頭悪性腫瘍他

呼吸器外科長 坪井 正博(つぼい まさひろ)

坪井 正博 写真

 

呼吸器外科でロボット支援手術の対象としているのは肺がん、転移性肺腫瘍(大腸がんなど)、および胸腺腫や神経原性腫瘍などの縦隔腫瘍です。傷が小さいため術後の疼痛が軽く、高精度な手術を少ない出血量で行えることがメリットです。当科では2019年3月よりロボット支援手術を開始し、安全性に最大限配慮しつつ、着実に施行件数を重ねております。ご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。

呼吸器外科HP Youtubeバナー

適応疾患/術式(保険適用)

  • 肺がん、転移性肺腫瘍/肺葉切除または1肺葉を超えるもの、区域切除
  • 縦隔悪性腫瘍(胸腺腫、胸腺がん)
  • 縦隔良性腫瘍(神経原性腫瘍、胸腺嚢胞)
  • 適応疾患・術式 肺がん他01
  • 適応疾患・術式 肺がん他02

食道外科長 藤田 武郎(ふじた たけお)

藤田 武郎 写真

 

食道がんはロボット支援手術の有用性が近年幾つかの臨床試験にて報告があり、合併症の低減・出血量の低下などが示されております。
ロボット支援食道手術には術者として胸腔鏡手術の十分な経験と共に、それに拘る看護師や臨床工学士など多職種の連携も重要です。当科では通常の胸腔鏡(きょうくうきょう)手術や腹腔鏡(ふくくうきょう)手術に加えて、ロボット支援手術でも豊富な経験を持っています。
ロボット手術のご要望のある方は何時でもご相談ください。

食道外科HP

対象疾患/術式(保険適用)

  • 食道がん/ロボット支援胸腔鏡下食道亜全摘
  • 適応疾患・術式 食道がん他01
  • 適応疾患・術式 食道がん他02

胃外科長 木下 敬弘(きのした たかひろ)

木下 敬弘 写真


 

当科では全国の先駆けとして2014年から胃がんに対するロボット支援手術を開始し、2022年12月までに370例以上と国内でも極めて多くの手術件数を経験し、この領域では指導的立場にあります。すでに国内25施設において現地での手術指導を行い、さらに国内外で安全なロボット支援手術普及のための外科医向け講演活動も行っています。精密な操作で必要な臓器を温存しながら、「がんを確実に切除する」「合併症を起こさない」「できるだけ術後に食事が食べられるような再建(腸管のつなげ方)」が可能になってきました。胃がんまたは食道胃接合部がんにおいては全ての術式が保険適応となりますので、いつでもご相談いただければ幸いです。

胃外科HP  Youtubeバナー

適応疾患/術式(保険適用)

  • 胃がん/幽門側胃切除、幽門保存胃切除、噴門側胃切除、胃全摘
  • 食道胃接合部がん(噴門部がん)/噴門側胃切除、胃全摘
  • 適応疾患・術式 胃がん他01
  • 適応疾患・術式 胃がん他02

肝胆膵外科科長  後藤田 直人 (ごとうだ なおと)

後藤田先生

 

肝胆膵外科では2022年4月よりロボット支援下手術を行っています。現在は膵がんをはじめとした膵腫瘍に対してロボット支援下膵体尾部切除術、また肝細胞がんや転移性肝がんなどの肝腫瘍に対してロボット支援下肝部分切除術や肝外側区域切除術を行っています。今後はさらに保険適用範囲内で実施手術術式を拡大していく予定です。多関節のロボットアームにより高精度な手術を行えることがメリットだと考えております。安全性に最大限配慮しつつ、着実に手術数を重ねております。ご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。

肝胆膵外科HP

適応疾患/術式(保険適用)

  • 膵腫瘍(悪性疾患を含む)/ロボット支援下膵体尾部切除術
  • 肝腫瘍(悪性疾患を含む)/ロボット支援下肝部分切除術/肝外側区域切除術

泌尿器・後腹膜腫瘍科長 増田 均(ますだ ひとし)

増田 均 写真

 

泌尿器・後腹膜腫瘍科は、ロボット支援下悪性腫瘍手術 (前立腺、膀胱、腎)のすべてを施行しております。年間250例弱の同手術を施行しており、本邦でも極めて多くの手術件数です。根治性を担保しつつ、最大限の臓器機能温存及びQOL向上を目指したロボット支援下手術を患者さんに提供するべく、日々研鑽しております。

泌尿器・後腹膜腫瘍科HP

適応疾患/術式(保険適用)

  • 腎臓がん/ロボット支援下腎部分切除、ロボット支援下根治的腎摘
  • 腎盂尿管がん/ロボット支援下腎尿管全摘
  • 前立腺がん/ロボット支援下前立腺全摘
  • 膀胱がん/ロボット支援下膀胱全摘
  • 適応疾患・術式 腎臓がん他01
  • 適応疾患・術式 腎臓がん他02

婦人科長 田部 宏(たなべ ひろし)

田部 宏 写真

 

婦人科でロボット手術の適応となるのは早期子宮体癌(子宮内膜がん)です。 臍(へそ)にカメラ用の小さな穴をあけ、左右直線状に7-8cm間隔で2つずつ、計5つの創(全て1cm程度の創) により手術を行います。 当院の特徴は、初診時から1カ月以内を目標に、病巣(がん)の摘出(子宮摘出)を先ずロボット手術で行い、 術後の病理結果によって、後日に追加手術(リンパ節郭清など)をすべきか検討しています。 それにより下肢浮腫などの合併症で悩む患者さんを、減らすことが出来ると考えています。 順調であれば出血量も少なく、翌日より歩行や食事を開始し、術後4日目に退院出来ます。 ご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。

婦人科HP

適応疾患/術式(保険適用)

  • 早期子宮体癌(子宮内膜がん)/ロボット支援下子宮全摘術
  • 適応疾患・術式 婦人科01
  • 適応疾患・術式 婦人科02

手術・受診をご希望の方へ

国立がん研究センター東病院はがん治療専門病院として、外科・内科・放射線の専門医によるチーム医療に取り組んでいます。手術や全身化学療法(抗がん剤)、放射線治療など、さまざまな治療選択肢を適宜組み合わせて、患者さん一人一人にとって適切な治療法を提案します。

当院への受診をご希望の方は、かかりつけの主治医にご相談の上、病状などについて記した医師の紹介状をお持ちください。

セカンドオピニオンのご案内

セカンドオピニオンのご案内イメージ

現在受診されている医療機関の診断結果のみでなく、当院の医師の客観的な意見や助言を参考にして治療方針を決定されたい方へお勧めです。また、がんの可能性が否定できないと言われた方など、がんの診断が確定していない場合でもセカンドオピニオンの受診が可能です。

サポーティブケアセンター/がん相談支援センターのご案内

サポーティブケアセンター/がん相談支援センターのご案内イメージ

全国の医療・福祉機関と連携し、患者さん・ご家族が安心して治療に専念できるよう、初診時から切れ目のない支援を行います。

入院準備センターのご案内

入院準備センターのご案内イメージ

東病院に入院する患者さん・ご家族が安心して入院後の治療に専念でき、療養生活のイメージがもてるよう、医師や看護師、医療ソーシャルワーカー、理学療法士、薬剤師、栄養士など多部門が連携して支援します。

更新日:2023年10月16日