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日常生活に関わるすべての活動を通じて心と体の機能回復・維持をサポート

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リハビリテーションを行う作業療法室にて
左から八尋作業療法士、櫻井作業療法士、大木作業療法士

中央病院骨軟部腫瘍・リハビリテーション科では、3人の作業療法士が、他の職種と連携しながらがんの患者さんのリハビリを担当しています。がん医療における作業療法士の役割やリハビリの内容について、櫻井卓郎作業療法士、八尋(やひろ)佐知子作業療法士、大木麻実作業療法士に聞きました。

作業療法士はどのような職種ですか。

八尋:「作業」を介して患者さんの心と体に働きかけるのが私たちの仕事です。作業とは、身の回りのこと、家事、仕事、創作など、すべての人の営みを指します。患者さんが目標とする作業ができるように練習したり、楽しみを感じられる作業を提供したりすることで、心も体も元気になるような支援をしています。

中央病院の作業療法の体制は?

櫻井:リハビリテーション科専門医1人、理学療法士4人、言語聴覚士2人と連携しながらリハビリを提供しています。作業療法部門は2010年に開設し、18年6月から3人体制になりました。

作業療法の対象になるのはどのような患者さんですか。

櫻井:骨軟部腫瘍や脳腫瘍で手術を受ける方、血液腫瘍で造血幹胞移植を受ける方、そして、全ての科の高齢の患者さんに関わることが多いです。
骨軟部腫瘍で主に上肢の手術をする患者さんには、手術前から上肢機能の評価や、義手や装具の説明を行い、術後は日常生活を送るための練習をしていきます。

八尋:脳腫瘍で手術を受ける患者さんには、手術の前と後に、体の動きや高次脳機能の評価をし、生活の中でできる工夫を具体的にアドバイスします。社会復帰して人
付き合いや仕事を続けるうえで、病気のことを詳細に明かさなくても、自分ができることとできないことを周囲の人に手に伝える方法を提案することもあります。
血液腫瘍で造血幹細胞移植を受ける患者さんは、移植前から身体機能と高次脳機能の評価を行い、退院後も体調に合わせて続けられるような自主トレーニング方法を指導します。
高齢患者さんに対しては、認知機能が低下していても、その人らしく生活を送れるような方法を一緒に探します。作業を通じて患者さんとご家族との関係づくりを支援する場合もあります。
がん種に関係なく、再発の不安を感じている患者さんも多いので、簡単にできる手芸や工作をしながらお話を聞いて、気持ちの支援をすることも多いです。

その他に最近取り組んでいることはありますか。

大木:AYA世代(思春期・若年成人、15歳から39歳)のサポートチームに参加し、作業療法士として心身機能維持向上、就学・就労支援等に関わっています。AYA世代は、進学、就職、結婚、出産など人生のイベントが多い世代であり、がん患者さんはさまざまな悩みを抱えています。社会との繋がりを保ちながら自分らしい人生を送れるように、一人ひとりに寄り添う心のケアにも力を入れています。

外出自粛期間中に新たな活動を始められたとうかがいました。

大木:新型コロナウイルス感染症の影響で外出や運動の機会が減ったがん患者さんに向けて、自宅で簡単にできるホームエクササイズの動画を作成し、当院のホームページで公開しました。作業療法部門では、座ったままできる上肢の運動を紹介していますので、筋力や体力を保つためにも、ぜひ取り組んでみてください。動画は今後も増やしていく予定です。

がんの作業療法への想いを聞かせてください。

櫻井:がんの作業療法は新しい分野で、患者さんに必要な支援を開拓しながら進めているところがあります。そこに現在進行形で関わることにやりがいを感じています。患者さんたちには、作業療法をしている瞬間だけでもハッピーになってもらえたら嬉しいです。