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ルタテラによる副作用
目次
- ルタテラについて
- ルタテラの対象となる患者さん
- 治療の流れ
- ルタテラの治療病室について
- ルタテラによる副作用
- 投与後の生活について
- ルタテラの有効性について
- 国立がん研究センター東病院でのルタテラの診療について
日本で行われた臨床試験における、代表的な副作用を示しています。( )内の数字はその副作用が出る割合です。
吐き気(67%)、下痢(52%)、食欲不振(52%)、リンパ球減少(48%)、だるさ(38%)、脱毛症(29%)、味覚障害(24%)、腎機能障害(17%)。
これらの副作用のうち、高い頻度で認められる吐き気を予防するために、当院ではルタテラの投与の際には前もって抗がん剤投与の際に用いられる強力な吐き気どめの薬を、複数組み合わせて使用しています。また、ルタテラは尿とともに体外に排泄されますが、その際に腎臓で再吸収されることによって腎機能障害を引き起こすことが知られています。そこで、ルタテラが腎臓で再吸収されることを妨げるライザケア*という点滴を同時に行うことで、腎臓の障害を予防します。
(薬剤の正式名称は「L-リシン塩酸塩、L-アルギニン塩酸塩」ですが、商品名であるライザケアと呼ばれることが多いため、本ページではライザケアと表記します)
このほか、頻度は少ないものの重篤な副作用として、海外では骨髄異形成症候群(1%)、急性骨髄性白血病(1%)が報告されていますので、ルタテラ治療後も慎重に経過をみて参ります。副作用が強く出た場合などは、次回以降の各薬剤の投与を延期したり、投与量を減らしたり、副作用を抑える薬を追加して副作用の程度をコントロールしながら治療を継続します。
この他に、点滴自体による影響として、血管外に薬剤が漏れたときに、皮膚障害が起こる可能性があります。そのため、点滴部位に腫れや発赤がみられたときは、早めに連絡してください。
主な副作用の解説
(1)吐き気、食欲不振
当院ではあらかじめ数種類の吐き気止めを組み合わせて予防的に使い、なるべく吐き気が出ないようにします。
(2)下痢
症状が軽い場合は下痢止めで軽快しますが、下痢の回数が増えてくると、脱水状態となり、命にかかわることもあります。長く続く場合には点滴による治療を行います。下痢があると便による被ばくのリスクもありますので、治療開始前に下痢がある場合には必ず担当医にお伝えください。
(3)リンパ球減少
白血球のなかでもリンパ球は、細菌やウイルス、寄生虫から身を守る役割(免疫機能)を担っているので、ある一定以上の数がないと感染症にかかりやすくなります。感染をおこすと、寒気、ふるえ、38°Cを越える熱が出ることがあります。このような症状が出た場合には、すぐに担当医にお知らせください。リンパ球の減少の程度がひどいときや熱を伴う場合は、抗菌薬の服薬、点滴などの治療が行われます。
(4)だるさ
だるさや疲労は多くの場合、休息することで良くなりますが、一部の方では休息してもなかなか良くならない場合や、日常的な動作も困難になるほどの強い「だるさ」「疲労」が現れることがあります。
(5)脱毛
治療終了後、しばらくすれば髪の毛が生え始め、徐々に元にもどります。
(6)味覚障害
味を感じる細胞や神経の障害、唾液分泌の減少、亜鉛不足などが原因となります。味覚障害は、食べ物の味が変わってしまうために食事量が減り、栄養状態が悪化することがあります。治療終了後、しばらくすれば味覚障害は徐々に元にもどります。
(7)腎機能障害
身体のむくみや疲れやすさを自覚する場合もありますが、多くは血液検査によって明らかになります。腎機能の障害を示す検査値の異常がみられた場合には、ルタテラを減量したり、治療を休止あるいは中止することがあります。
(8)骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)
血液の細胞は、酸素を運搬する「赤血球」、止血にかかわる「血小板」、免疫機能を担う「白血球」の大きく3つの系統に分類されます。骨髄異形成症候群とは、骨髄の造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)に異常が起き、正常な血液細胞が造られなくなる病気です。正常な血液細胞が減少することで、貧血、出血傾向、感染に伴う発熱などの症状が現れます。また、一部の患者さんでは、骨髄異形成症候群が進行し「急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)」に移行することがあります。
(9)急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)
骨髄で造血幹細胞に異常が起き、がん化した細胞(白血病細胞)が骨髄で異常に増える病気です。正常な血液細胞が減少することで、貧血、出血傾向、感染に伴う発熱などの症状が現れます。急性骨髄性白血病は進行が速いため、多くの場合、急に症状があらわれます。速やかな診断と治療の開始が重要です。