トップページ > 共通部門のご案内 > 臨床研究支援部門 > 研究企画推進部 > 国際研究支援室

国際研究支援室

News & Events

マレーシアの臨床試験関連施設の視察:Clinical Research Malaysia(CRM)、国立病院系の医療機関や民間検査機関を訪問


2020/2/20-21の2日間、マレーシアの臨床試験環境の調査のため、マレーシアの国営CROであるClinical Research Malaysia(CRM)、国立病院系の2医療機関(国立がんセンター:Institut Kanser Negara(IKN)、クアラルンプール総合病院:Hospital of Kuala Lumpur(HKL))、2つの検査機関(Hematogenix Malaysia、Pantai Premier Pathology)を、研究企画推進部の3名(中村健一、秦友美、大竹洋平)が訪問しました。


Clinical Research Malaysia(CRM)

マレーシアには大きく分けて国立病院、大学病院、私立病院の3つに分けられ、CRMはこのうち国立病院に関する臨床試験を統括する組織で、マレーシア政府により2012年に設立されています。Board of Directorsにはマレーシア厚労省の事務次官も入っており、言うなれば国営CROとして、主に企業治験の受け皿として機能しています。

国立病院のCRCは基本的にCRMに所属し、CRMから派遣される形になっていとのこと。そのため各施設の試験数や試験内容(疾患領域など)に応じて、CRC配置は柔軟に調整ができる体制ができています。また、参加施設が国立病院に限る場合は、参加施設のfeasibility checkや治験契約、参加施設との調整なども、CRMに一括して調整してもらうことが可能です。つまりCRMが窓口としてワンストップサービスを提供している形となっています。我々のようなアカデミアが国際共同医師主導治験を行う際にも、CRMの支援を受けることは可能とのことでした。

news20200220-1

CRMの入口。ビルの高層階のワンフロアにある。 


国立がんセンター: Institut Kanser Negara (IKN)

IKNはマレーシアにおけるNational Cancer Instituteであり、2013年に設立され、マレーシア内の6つのcancer centerと統括する病院と位置続けられているとのことです。がん治療において、薬物療法と放射線療法に特化している点がユニークでした。外科手術や内視鏡治療は隣接するPutrajaya Hospitalという総合病院で行っているため、手術室の設備は院内にはないとのことでした。 2014年からClinical Research Centerが院内に設置され、企業治験など臨床試験の誘致にも力を入れているとのことでした。2018年度の実績としては、研究者主導試験が約40件、企業治験が7件であり、内訳としては、Phase 3が多く、Phase 1の実施経験はないとのこと。現在3名のCRCがCRMより派遣されているとのことでした。

news20200220-3

IKNの玄関。2013年に出来たところなので新しい。中心が腫瘍内科医のDr. Tan。

news20200220-4

CRC室。CRCが3人しかいないのでこじんまり。


クアラルンプール総合病院: HKL (Hospital of Kuala Lumpur)

1967年創設の歴史のある国立の総合病院です。
臨床試験の実施体制として、CRCは14名がCRMより派遣されており、そのうち5名ががん領域専任とのことでした。がん領域では、現在、24件の企業治験を実施しているとのことでした。 CRMの派遣CRCは、皆さん英語のスキルがあり、これは国際共同治験を実施するうえでのアドバンテージであるという印象を受けました。

news20200220-5

オンコロジー病棟の入口。1967年に建設されたとのこと。

news20200220-6

がん領域担当のCRC室。他の疾患担当CRCは、それぞれ別の棟に居室があるとのこと。

news20200220-7

HKLのオンコロジー病棟の受付。


HematogenixとPantai Premier Pathology

昨今のがんゲノム医療の飛躍的な進歩により、革新的治療薬が開発されてきています。これにより臓器別(肺がん、乳がん等)の開発でなく、臓器横断的なバイオマーカー別の開発が台頭してきました。質の高い病理診断を実施できる検査施設は、今後のがん治療薬開発に不可欠な存在です。今回は、マレーシアの病理検査水準を調査するため、2つの検査施設を訪問しました。病理検体の保管体制や、DNA/RNA抽出手順、シーケンサーによる標的遺伝子変異解析、バイオマーカー測定などの手順等、実施体制についての調査を行いました。

news20200220-8

Pantai Premier Pathologyのラボの入口。





国際研究支援室へ戻る