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ゲムシタビンによる治療
ゲムシタビンは膵がん・胆道がんに効果を示すといわれている代表的な抗がん剤です。
使用する抗がん剤
ゲムシタビン注
ゲムシタビンは、点滴で行う治療薬です。がん細胞の増殖に必要な物質とよく似た構造をしているため、がん細胞の中に取り込まれて効果を発揮します。がん細胞のDNAに入り込み、細胞分裂に必要なDNAの合成を阻害してがん細胞を死滅させ、がんの分裂や増殖を抑えます。
ゲムシタビンによる治療の副作用
抗がん剤は、がん細胞だけではなく、正常な細胞にも作用するため、副作用がしばしば現れることがあります。副作用には自覚症状があるもの、検査を受けなければ気づかないような自覚症状がないものがあります。
治療は、体の状態をみながら、効果と副作用のバランスを考えて進めるので、体の異常を感じたらすぐにご相談ください。
予想される主な副作用
自覚症状があるもの
食欲不振・吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状、発熱、疲労感、呼吸困難、発疹、脱毛 など
自覚症状がないもの
骨髄抑制(白血球減少・赤血球減少・血小板減少など)、肝機能低下、腎機能低下 など
消化器症状
食欲不振・吐き気・嘔吐(長く続くと脱水状態など全身状態の悪化につながります)
抗がん剤によって引き起こされる吐き気や嘔吐には、次の3種類があります。
1. 点滴直後から数時間以内にみられるもの
2. 点滴終了後24時間以降にみられ、数日続くもの
3. 薬を点滴すると思っただけで起こるもの
最近では、吐き気止めの薬でコントロールできるようになっています。体調の異常を感じたら、遠慮せずに医師・看護師・薬剤師にお伝えください。長く続くと脱水症状などから全身状態の悪化につながるので、水分補給(水・フルーツジュース・スポーツ飲料など)を心がけましょう。
骨髄抑制
白血球の減少(感染症にかかりやすくなります)
白血球は体内へ細菌が入り込まないように守り、感染症を防ぐ重要な役割があります。白血球が減少すると、体の抵抗力が低下して感染症にかかりやすくなります。一般的に薬を点滴してから1週間前後に白血球の数が少なくなるといわれています。
白血球がかなり減少している場合は、白血球を増加させる薬を使うことがあります。また、発熱や感染症の可能性がある場合は、抗生剤を服用したり、点滴を受けたりすることもあります。
感染症を引き起こさないようにするため、感染しても悪化させないためにも、早めの対策を心がけましょう。
赤血球減少(貧血症状につながります)
めまい・立ちくらみ、冷え、だるさ、息切れ、動悸などの症状があります。貧血の程度が著しい場合は、輸血を行うこともあります。
血小板減少(出血しやすくなります)
血小板は、血液を固まりやすくする働きがあります。血小板の数が少なくなると、出血しやすくなります。血小板の数が少なくなり、出血傾向がみられる場合は、輸血を行うこともあります。身に覚えのない内出血や血便・血尿・鼻血などが見られたら、すぐに連絡してください。
発疹(皮膚が赤くなったりかゆくなったりします)
皮膚が赤くなったり、かゆくなったりすることがあります。症状が強い場合は、治療をお休みして様子をみることもありますので、異常を感じたら医師・看護師・薬剤師に相談してください。
発熱(長引くときは感染症の可能性も)
ゲムシタビンの点滴を受けると3日以内に38℃くらいの熱が出ることがあります。長く続くときは感染症の可能性がありますので、早めに連絡してください。発熱時は水分補給を心がけましょう。
疲労感(もともと疲れがある人は増強することも)
疲労感はたいてい点滴当日から2、3日続く場合があります。疲れたと感じたときは、無理をせずに体を十分休ませましょう。また、体を冷やさないようにしましょう。
下痢(脱水になる危険性も)
脱水予防のために、水分補給を心がけましょう。排便後は、強くこすらないようにし、肛門周囲を清潔に保つようにしてください。症状がひどいときには、下痢止めのお薬を服用することもあります。
便秘(早めの対応を)
長期になると、食欲不振や吐き気の原因にもなります。水分を十分に取りましょう。排便を我慢せずに十分に時間をかけて排便したり、毎日同じ時間帯にトイレに座ってみるようにするとよいでしょう。体調がよければ適度な運動(散歩など)も効果的です。連日排便がない場合は、下剤を用いることもあります。
口内炎(食べ物がしみたり、痛みや歯ぐきの腫れ など)
口内炎が感染症の原因にもなることがあります。口腔内を清潔に保つためにうがいをこまめにしましょう。歯ブラシは毛の柔らかいものを使いましょう。食べ物は熱いものを避け、なるべく柔らかいものを食べるとよいでしょう。症状によっては、うがい薬や塗り薬を用いることがあります。
重大な副作用
どんな薬にもそれぞれ「重大な副作用」があり、まれではあるものの起こると重篤になってしまうものをいいます。
間質性肺炎(1.4%) 咳、息切れ、発熱 など
日頃から自分の体調に変化がないか意識し、風邪に似た症状がないかどうかをチェックするようにしてください。
間質性肺炎は、頻度はごく少ないものの、ときに重い症状になる恐れがあり、特に注意すべき副作用です。
肺が炎症を起こし、機能が低下するので、息切れ・咳・呼吸困難などの症状が現れます。初期には、軽度の発熱や咳など、風邪とよく似た症状が現れることが多く、ただの風邪と見過ごされやすいことがあるので、このような症状がある場合は、自分で判断せずにすぐに相談してください。疑いがあるときには、速やかに必要な検査を行い、適切な治療を行います。
その他の重大な副作用
- アナフィラキシー様症状(0.3%):アレルギー性の呼吸困難
- 心筋梗塞(0.3%):胸の痛み・胸の不快感
- うっ血性心不全:手足のむくみ・息切れ・動悸
- 肺水腫:息切れ・発汗
- 気管支痙攣:呼吸困難
- 成人呼吸促迫症候群(ARDS):38℃以上の急な発熱・呼吸困難
- 腎不全:尿量が減る・手足のむくみ・頭痛
- 溶血性尿毒症症候群(0.3%):排尿困難・あざ・血便
- 皮膚障害(頻度不明):水ぶくれ・灼熱感
- 肝機能障害・黄疸(頻度不明):皮膚や目の白い部分が黄色くなる・倦怠感・食欲不振・右上腹部痛
このような症状が現れるのはごくまれですが、起こると重篤になってしまう恐れがあるので、気になる症状があればすぐにお知らせください。