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ABVD療法
ABVD療法は、4種類の抗がん剤(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)を組み合わせた治療法です。欧米から報告されたABVD療法に加えて、ダカルバジンの投与量を減らしたABVd療法という変法があり、本邦においてABVD療法と同等の有効性を示唆する臨床試験結果が報告されています。ABVD療法 (ABVd療法を含む)は、ほとんどの患者さんが外来で実施できるのが特徴です。
使用する抗がん剤
ビンブラスチン注
ビンブラスチンは、ニチニチソウという植物に含まれる成分から作り出された抗がん剤で、細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分のひとつである微小管に作用します。微小管を構成しているチュブリンという蛋白質の結合を阻害することによって腫瘍細胞の増殖を阻害し、死滅させます。ビンブラスチンは、短時間で静脈内に投与します。ビンブラスチンを投与すると、手や足がピリピリするなどの異常感覚、便秘やイレウスなどの末梢神経障害が起こることがあります。上記のような症状が出た場合は、症状が軽いうちに医師、看護師又は薬剤師に報告して下さい。
ダカルバジン注
ダカルバジンは、生体内でジアゾメタンに代謝され、ジアゾメタンがDNAにくっつくことによって、腫瘍細胞の増殖を阻害し、死滅させます。ダカルバジンは、ホジキンリンパ腫の治療に欠かすことのできない薬で、国際的に有効性が証明されています。ダカルバジンは光に不安定で、その光分解物によって血管痛等を引き起こすことがあります。点滴静注する場合には遮光して投与します。点滴の針を刺している部位やその周辺の血管に添って痛みを感じたときは、医師、看護師又は薬剤師に報告して下さい。
ドキソルビシン注 (アドリアマイシン)
ドキソルビシンは、腫瘍細胞のDNAにくっつき、腫瘍細胞の増殖を止めたり、死滅させる作用を持つ薬です。薬は赤色をしています。薬を注射してから1から2日の間、尿や汗に色(赤色・桃色・橙色等)が着くことがあります。その後、元に戻りますので、ご心配はいりません。心疾患の既往がある方は、治療開始前に担当医へご相談下さい。
ブレオマイシン注
ブレオマイシンは、福岡県嘉穂郡の土壌から分離された放線菌から発見された抗腫瘍性抗生物質です。ブレオマイシンがDNAに結合すると、DNAを切断する酵素が活性化され、DNAを切断して腫瘍細胞の増殖を阻害し、死滅させます。ブレオマイシンを投与すると、投与後4から5時間あるいはさらに遅れて発熱することがあります。ヒドロコルチゾン注投与によって予防していますが、発熱が強いと感じた時は、次回受診時に担当医とご相談下さい。
間質性肺炎や肺線維症等の肺疾患を引き起こすことがあります。肺疾患の既往や喫煙歴がある方は、治療開始前に担当医とご相談下さい。また、喫煙されている方はこの機会に禁煙することを強くお勧めします。禁煙する場合と比べて、喫煙を継続する場合は生存率が低下することが知られているためです。
ABVD療法による副作用
骨髄抑制
抗がん剤を使用すると血液を造る骨髄も影響を受け、白血球、赤血球、及び血小板が減少することがあります。
白血球の減少(感染症にかかりやすくなります)
白血球は、病原体から身体を守る(感染を防ぐ)働きを持った血液成分の1つです。白血球が一定レベル以下に減少すると抵抗力が低下し、感染にかかりやすくなります。抗がん剤治療中は、感染予防策が大切です。また扁桃炎・虫歯・歯槽膿漏・膀胱炎・痔などがある方は、治療開始前に担当医とご相談ください。
赤血球の減少(貧血症状につながります)
血小板の減少(出血しやすくなります)
吐気・嘔吐
脱毛
口内炎
心毒性
肺毒性
点滴部位における皮膚障害