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内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP)

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP: endoscopic retrograde cholangiopancreatography)は、内視鏡(カメラ)を口から入れて食道・胃を通り十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接細いチューブを介して造影剤を注入して、胆嚢や胆管及び膵管の異常を詳しく調べる検査です。
本検査は1970年に開発されて以来、これらの臓器に関する病気の診断と治療に大きな貢献をしてきた検査法です。腹部エコー検査、CT、MRIの結果より病気(腫瘍)が疑われる場合、病理検査にて確定診断をつけなければいけません。ERCPでは病気の部分から組織を採取して病理診断を行えることから、最終的な精密検査法として位置付けられています。ERCPは胆管癌の診断や閉塞性黄疸の治療(内視鏡的胆道ドレナージ)、早期膵癌の診断などで威力を発揮します。

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主乳頭です。ここから胆管と膵管にアプローチします。

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胆管深部挿管が成功しガイドワイヤーを胆管内に留置しました。

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内視鏡的乳頭切開術(EST)を加えています。

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金属ステントを留置しました。

ERCP件数の推移(年度別)

ERCP件数の推移(年度別)

  2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
ERCP 198 293 854 856 921 877 1113 1181

1 ERCPと胆道ドレナージ

肝胆膵領域の病気では胆管(胆汁の流れる道)の閉塞を来たして黄疸(閉塞性黄疸)を発症することがあります。黄疸を発症しますと食欲低下、倦怠感などの症状が前面にでてきます。
この黄疸に対する治療として、胆汁の流れを良くするために、プラスチック製の管(プラスチックステント)や金属製の管(金属ステント)を内視鏡で胆管内に埋め込む治療を行うことができます。
このように胆管にステントを埋め込んで胆汁の流れを良くする事を「胆道ドレナージ」と呼びます。

遠位胆管狭窄の胆道ドレナージ

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  1. 多発リンパ節転移を有する乳癌:
    化学療法中にリンパ節転移による閉塞性黄疸を来したためERCPを行いました。遠位胆管に狭窄を認めます。
  2. 金属ステントを留置しました。速やかに黄疸は改善し、化学療法を再開できました。

肝門部胆管狭窄の胆道ドレナージ(プラスチックステント3本留置)

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切除不能肝門部領域胆管癌:
化学療法中に閉塞性黄疸を来したためERCPを行いました。
左枝、前区域枝、後区域枝に3本のプラスチックステントを留置しました。
黄疸は速やかに改善し、化学療法を再開できました。

肝門部胆管狭窄の胆道ドレナージ(金属ステント3本留置)

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切除不能胆嚢癌:
前区域枝、後区域枝に合計2本のプラスチックステントを留置していました。化学療法を開始するにあたり、左枝、前区域枝、後区域枝に3本の金属ステントを留置し全肝ドレナージを行いました。

2 胆道鏡

胆道鏡は胆道内、主に胆管内病変の直接観察を 行う内視鏡検査です。胆管狭窄や腫瘍性病変を直接観察し直視下生検(直接病変を見ながら生検する)を追加することで正確な診断が可能となります。 

具体的には(1)陰影欠損を呈する病変の良性悪性の鑑別診断や腫瘍の局在診断(2)胆管狭窄に対してERCP透視下の生検を行うも悪性病変の診断ができない場合に有用です。胆道鏡は不必要な手術の回避や手術の切除範囲の決定に重要な役割を果たします。
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胆管癌の進展診断(乳頭膨張型の胆管癌)

 

  • 3-46.pngCT:
    肝門部領域胆管にまで及ぶ胆管腫瘍(黄色矢印)を認めます。
  • 3-47.png内視鏡的逆行性胆管造影(ERC):
    肝門部領域胆管にまで及ぶ胆管腫瘍(黄色矢印)を認めます。

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主膵管型IPMNの確定診断と局在診断

 

  • 3-48.pngCT:
    著明に拡張した主膵管の中に腫瘍(黄色矢印)を認めます。
  • 3-49.jpg視鏡:
    乳頭開口部は開大し、粘液の排出を認めます。
  • 3-50.jpg内視鏡的逆行性膵管造影 (ERP):
    主膵管は著明に拡張し、膵管内部に大量の粘液を有しています。
  • 3-51.jpg膵管鏡:
    主膵管内の乳頭状腫瘍の病理診断に加え、局在診断を行いました。
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膵管鏡下の生検:

主膵管内に乳頭状の腫瘍を認め、生検を行いました。

病理診断は乳頭状腺癌でした。

膵頭部には病変はなく、膵体尾部切除術を行いました。適切な切除範囲を決めることができました。

3 術後腸管症例に対するERCP

胆道癌や膵頭部癌の外科手術により胆管空腸吻合となっている消化管や、胃癌の術後のためRoux-en-Y再建となっている消化管では、通常のERCP scopeでは胆管や主乳頭に到達することができず胆膵領域の病気の診断や胆道ドレナージができません。

このような術後腸管症例ではシンブルバルーン内視鏡やダブルバルーン内視鏡が有用です。

術後吻合部狭窄に対する拡張術(十二指腸癌で膵頭十二指腸切除術、Child再建後)

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  1. 胆管空腸吻合部狭窄を認めます。胆管孔は認識できず瘢痕のみ。胆管内に結石(黄色矢印)を認めました。
  2. 胆管内結石を排出した後、金属ステントを左右肝管に留置しました。
  3. 一定期間留置した後、金属ステントを抜去すると狭窄はなくなりました。
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膵頭十二指腸切除後の胆管空腸吻合部狭窄症例:
肝胆道系酵素の上昇と胆管結石を指摘され内視鏡治療を行いました。内視鏡治療前は肝胆道系酵素の上昇を繰り返していましたが、内視鏡治療後は改善し吻合部狭窄の再発もありません。

術後吻合部狭窄に対する胆道ドレナージ(肝門部領域胆管癌の術後再発: Roux-en-Y再建)

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CT:
胆管癌に対する左葉、尾状葉、肝外胆管切除後です。
再発病変によって胆管空腸吻合部は狭窄し、右肝内胆管は拡張しています(黄色矢印) 。
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  1. Roux-en-Y再建後でした。シングルバルーン内視鏡を用いました。
  2. 胆管空腸吻合部に到達しました。
  3. 内視鏡で見た胆管空腸吻合部です。胆管孔が見えます。

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右前区域枝、右後区域枝を造影すると各々が泣き別れていました。右前区域枝、右後区域枝にそれぞれガイドワイヤーを留置しました。
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1本目の金属ステントを、右後区域枝に留置しました。
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2本目の金属ステントを、1本目の金属ステントのメッシュを越えて右前区域枝に留置しました。
内視鏡的胆管ステント留置後は黄疸を伴った胆管炎は改善しました。

胆膵バルーン内視鏡件数の推移(年度別)

胆膵バルーン内視鏡件数の推移(年度別)

4 内視鏡的乳頭切除術(パピレクトミー)

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  1. 主乳頭は腫大し表面はやや粗造です。
  2. スネアをかけて切除します。

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  1. 切除後に病変を鉗子で把持して回収しました。
  2. 切除後に胆管と膵管にステントを留置します。
    出血しやすい小帯側はクリップで包縫しています。
十二指腸乳頭部腫瘍(腺腫):切除後の病理診断でも腺腫であり治癒切除でした。

5 十二指腸ステント留置


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膵頭部癌による閉塞性黄疸と十二指腸狭窄による食事摂取困難

を主訴に受診されました。

CTでは膵頭部癌による胆管狭窄(黄色矢印)と

十二指腸狭窄(黄色矢頭)を認めました。

  • 3-35.png胆管金属ステント留置後に十二指腸ステント留置を行いました。十二指腸水平脚に狭窄(黄色矢頭)を認めました。
  • 3-36.jpg内視鏡でも十二指腸水平脚に腫瘍による狭窄を認めました。

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十二指腸ステントのデバイスを狭窄部を超えて挿入しました。

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22mm径×8cm長の十二指腸ステントを留置しました。
ステント留置後は食事摂取も可能となり化学療法を速やかに導入することができました。