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ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法

ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法は膵がんに効果を示すといわれている治療法です。

使用する抗がん剤

ゲムシタビン注

ゲムシタビンは、点滴で行う治療薬です。がん細胞の増殖に必要な物質とよく似た構造をしているため、がん細胞の中に取り込まれて効果を発揮します。がん細胞のDNAに入り込み、細胞分裂に必要なDNAの合成を阻害してがん細胞を死滅させ、がんの分裂や増殖を抑えます。

ナブパクリタキセル注

ナブパクリタキセルは、パクリタキセルという抗がん剤にアルブミンというたんぱく質を結合させた薬剤で、従来のパクリタキセルと比べ添加物による過敏症を抑え、点滴時間を短縮することが可能になりました。細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分の一つである微小管を過剰発現させることにより、がん細胞の増殖を阻害します。

ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法の副作用

予想される主な副作用

自覚症状があるもの

脱毛、末梢神経障害、関節痛・筋肉痛、発疹、発熱、食欲不振、吐き気・嘔吐、口内炎、疲労感 など

自覚症状がないもの

骨髄抑制(白血球減少・赤血球減少・血小板減少など)、肝機能障害、腎機能障害 など

末梢神経障害

手足のしびれ・痛み(症状が強くなる前に早めの相談を)

症状の出る時期には個人差があります。手足に刺すような痛み・焼けるような痛みを感じたり、細かい作業がしづらくなったり、歩きにくさを感じたりする方もいます。しびれが出てから軽い症状のままで推移することもありますが、症状が強くなる場合は、しびれのために治療を一時中止することもあります。

この症状は、手袋と靴下の着用範囲に起こりやすいと言われています。軽度の症状の場合、投与が終了してから数ヶ月以内に回復してくることが多いですが、症状が強い時には回復までに1年以上かかることがあります。

骨髄抑制

白血球の減少 (感染症にかかりやすくなります)

白血球は体内へ細菌が入り込まないように守り、感染症を防ぐ重要な役割があります。白血球が減少すると、体の抵抗力が低下して感染症にかかりやすくなります。一般的に薬を点滴してから1週間前後に白血球の数が少なくなるといわれています。白血球がかなり減少している場合は、白血球を増加させる薬を使うことがあります。また、発熱や感染症の可能性がある場合は、抗生剤を服用したり、点滴を受けたりすることもあります。感染症を引き起こさないようにするため、感染しても悪化させないためにも、早めの対策を心がけましょう。

赤血球減少 (貧血症状につながります)

めまい・立ちくらみ、冷え、だるさ、息切れ、動悸などの症状があります。貧血の程度が著しい場合は、輸血を行うこともあります。

血小板減少 (出血しやすくなります)

血小板は、血液を固まりやすくする働きがあります。血小板の数が少なくなると、出血しやすくなります。血小板の数が少なくなり、出血傾向がみられる場合は、輸血を行うこともあります。身に覚えのない内出血や血便・血尿・鼻血などが見られたら、すぐに連絡してください。

関節痛・筋肉痛(手足の関節・ひざの痛み)

薬を注射してから2から3日後に症状が現れ、数日以内におさまってきます。とくに背中や足の関節・筋肉に痛みを感じることが多いです。痛みを感じはじめたら、その周囲を十分にマッサージし血液の流れをよく保つと良いでしょう。痛み止めの薬を用いて 症状の軽減をはかることもあります。担当医にご相談下さい。

消化器症状

食欲不振・吐き気・嘔吐 (長く続くと脱水状態など全身状態の悪化につながります)

抗がん剤によって引き起こされる吐き気や嘔吐には、次の3種類があります。

  1. 点滴直後から数時間以内にみられるもの
  2. 点滴終了後24時間以降にみられ、数日続くもの
  3. 薬を点滴すると思っただけで起こるもの

最近では、吐き気止めの薬でコントロールできるようになっています。体調の異常を感じたら、遠慮せずに医師・看護師・薬剤師にお伝えください。長く続くと脱水症状などから全身状態の悪化につながるので、水分補給(水・フルーツジュース・スポーツ飲料など)を心がけましょう。

黄斑浮腫

視力が低下したり、物がゆがんで見えたり(変視)、視野の中に見えない部分があるなどの症状が現れることがあります。放置しておくと重症となり、元に戻りにくくなるので、早めに対処することが大切です。

脱毛(治療が終われば回復し始めます)

治療開始後2週間から3週間過ぎたころから髪の毛が抜け始めます。朝起きた時に枕についた髪の量や、洗髪した時に抜ける髪の量の変化で気づくことが多いようです。

アレルギー反応(気が付いたらすぐお知らせください)

ナブパクリタキセルの点滴中や終了後に、息苦しさ、発疹、血圧低下、心臓がドキドキする、胸がしめつけられる、顔がほてるなどの症状が現れることがあります。上記の症状が出た場合には、すぐに医師、看護師、薬剤師などにお知らせください。

発疹(皮膚が赤くなったりかゆくなったりします)

皮膚が赤くなったり、かゆくなったりすることがあります。症状が強い場合は、治療をお休みして様子をみることもありますので、異常を感じたら医師・看護師・薬剤師に相談してください。

発熱(長引くときは感染症の可能性も)

治療を受けると3日以内に38℃くらいの熱が出ることがあります。長く続くときは感染症の可能性がありますので、早めに連絡してください。発熱時は水分補給を心がけましょう。

疲労感(もともと疲れがある人は増強することも)

疲労感はたいてい点滴当日から2、3日続く場合があります。疲れたと感じたときは、無理をせずに体を十分休ませましょう。また、体を冷やさないようにしましょう。

ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法の重大な副作用

「重大な副作用」と呼ばれるものには次のようなものがあります。どんな薬にもそれぞれ「重大な副作用」があり、まれではあるものの起こると重篤になってしまうものをいいます。

間質性肺炎(1.4%) (咳、息切れ、発熱 など)

日頃から自分の体調に変化がないか意識し、風邪に似た症状がないかどうかをチェックするようにしてください。

間質性肺炎は、頻度はごく少ないものの、ときに重い症状になる恐れがあり、特に注意すべき副作用です。肺が炎症を起こし、機能が低下するので、息切れ・咳・呼吸困難などの症状が現れます。初期には、軽度の発熱や咳など、風邪とよく似た症状が現れることが多く、ただの風邪と見過ごされやすいことがあるので、このような症状がある場合は、自分で判断せずにすぐに相談してください。疑いがあるときには、速やかに必要な検査を行い、適切な治療を行います。

その他の重大な副作用

  • 脳神経麻痺:顔面神経麻痺、声帯麻痺
  • ショック、アナフィラキシー:呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈、潮紅、血管浮腫、発汗
  • 間質性肺炎、肺線維症:発熱、咳嗽、呼吸困難
  • 急性呼吸窮迫症候群:呼吸困難、低酸素症
  • 心筋梗塞、うっ血性心不全、心伝導障害:胸の痛み、不快感
  • 肺塞栓症、血栓塞栓症:胸痛、息切れ、呼吸困難
  • 脳梗塞:顔や手足の麻痺、呂律不良、めまい
  • 難聴、耳鳴
  • 消化管出血、胃潰瘍、腸管狭窄:吐き気、胃痛、吐血、血便
  • 腸炎:下痢、腹痛、嘔吐
  • 腸管閉塞、腸管麻痺:食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、腹痛、腹部膨満
  • 肝機能障害、黄疸:皮膚や目の白い部分が黄色くなる・倦怠感・食欲不振・右上腹部痛
  • 膵炎:みぞおち・背中の痛み
  • 急性腎不全:食欲不振、嘔気、倦怠感
  • 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):
  • 発熱、目の充血、くちびるのただれ、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなる
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC):出血、動悸

その他、気になる症状がありましたら、医療スタッフにご相談ください。

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