小児腫瘍外科
小児腫瘍外科
2016年4月、全国で初めて小児がんの外科治療に特化した診療科として開設されました。胸部や腹部に発生する小児固形腫瘍を中心に、診断から治療方針の検討、手術、術後管理までを担っています。小児腫瘍科をはじめ、小児・AYA世代のがん診療に関わる各診療科や多職種チームと密に連携し、お子さん一人ひとりに最適な外科治療を提供します。
こどもの未来を見据えた、センターでの小児がん手術
小児がんの外科治療は、単に「小さな体に対して行う手術」ではありません。こどもは大人のミニチュアではなく、成長・発達の途上にある一人ひとり異なる存在です。そのため、小児がんの手術には、腫瘍を確実に治療することに加えて、これから続く長い人生を見据えた判断と技術が求められます。
日本における小児がん診療は、限られた専門施設を中心に集約化が進められており、診断、化学療法、放射線治療、外科治療、集中治療、リハビリテーション、心理社会的支援など、多職種が連携して治療を行う体制が重要です。私たちは、小児がん診療の中心的な役割を担う施設において、小児腫瘍外科、小児腫瘍内科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、麻酔科、集中治療科、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、心理士、子ども療養支援士、ソーシャルワーカーなどと密に連携しながら、こどもにとって最善の外科治療を提供することを目指しています。
小児腫瘍の手術では、成人がん手術とは異なる考え方が必要です。小児がんは進行が速い一方で、化学療法や放射線治療がよく効く腫瘍も多く、手術のタイミングや切除範囲は、全身治療とのバランスの中で慎重に決定されます。すなわち、「すぐに大きく切除する」ことが常に最善とは限りません。腫瘍の性質、病期、治療反応性、臓器機能、将来の成長や生活の質を総合的に評価し、必要十分な手術を行うことが大切です。
また、こどもの体は小さく、血管や臓器も非常に繊細です。わずかな出血や臓器損傷が、その後の経過に大きく影響することもあります。そのため、小児腫瘍外科では、精密な画像評価に基づく手術計画、術中の安全確認、臓器温存を意識した操作、必要に応じた低侵襲手術やナビゲーション技術の活用など、高度で繊細な外科技術が求められます。
さらに、小児がんの治療では、手術後の「今」だけではなく、成人期に至るまでの「将来」も考えなければなりません。腎臓、肝臓、肺、消化管、生殖機能、運動機能など、こどもの成長に関わる臓器や機能をできる限り守ることは、治療後の生活の質に直結します。根治性と機能温存の両立こそが、小児腫瘍外科における重要な使命です。
一方で、手術を受けるこどもやご家族にとって、小児がんの治療は身体的な負担だけでなく、精神的にも大きな試練です。治療の説明、入院生活への不安、手術への恐怖、学校生活や家族への影響など、さまざまな問題が生じます。私たちは、こども本人の気持ちとご家族の思いに寄り添いながら、医療チーム全体で支えることを大切にしています。
近年、小児がん治療の成績は大きく向上し、多くのお子さんが治癒を目指せる時代になりました。だからこそ、私たち小児腫瘍外科医には、病気を治すだけでなく、その先に続く成長、学び、社会生活、そして未来を見据えた外科治療が求められています。
小児腫瘍外科は、がんを切除する診療科であると同時に、こどもの未来を守る診療科です。私たちは、日本の小児がん診療を担うセンターとして、専門性の高いチーム医療のもと、一人ひとりのこどもに最適な手術を提供してまいります。





