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ドキソルビシン/イホスファミド療法 (AI療法)
骨軟部腫瘍におけるAI療法とは、ドキソルビシン(別名:アドリアマイシン)とイホスファミドという作用の異なる2種類の抗がん剤を組み合わせて使う治療のひとつです。
使用する抗がん剤
ドキソルビシン注 (アドリアマイシン)
ドキソルビシンは、がん細胞のDNAに入り込み、その成長を止め、死滅させる作用を持つ薬です。薬の色が赤色です。注射してから1から2日の間、尿や汗に色(赤色・橙色等)がつくことがありますがご心配いりません。元に戻ります。心臓に既往歴のある方は、事前に医師へご相談ください。
イホスファミド注
イホスファミドは、がん細胞のDNAに結合し、がん細胞の分裂を止め死滅させます。この薬は、体内で分解され、代謝物が尿中に排泄されます。代謝物は、膀胱の粘膜を障害し、出血性膀胱炎を引き起こすことがあります。出血性膀胱炎を防止するため、代謝物を無害化するメスナを点滴します。水分を普段より多くとり、排尿の回数を増やすことで予防することもできます。
AI療法による副作用
白血球減少
血液中の白血球は、体内へ細菌が入り込まないように守っている血液成分の1つです。一般的にくすりを注射してから1から2週間目に白血球の数が少なくなり、3から4週間目で回復してきます。白血球が減少すると細菌に対する防御能が低下し、感染や発熱を引き起こす可能性があります。この時期の感染予防が大切です。
血小板減少
血小板は、血液を固まりやすくする働きがあります。血小板の数が少なくなると、出血しやすくなります。出血傾向がみられる場合は、輸血を行う場合もあります。
口内炎
口に違和感が出る方がいます。
味覚への影響
味の感じ方が変化する方がいます。
吐き気・嘔吐
吐き気や嘔吐が出ることがあります。
下痢
下痢をおこすことがあります。脱水を防ぐために水分の摂取を心掛けて下さい。止痢剤や整腸剤などで対応することも可能です。水っぽい便、熱や腹痛をともなうひどい下痢が続く場合には、病院へ電話して下さい。
便秘
便秘をおこすことがあります。便通を良くするために水分の摂取を心掛けて下さい。下剤を使用する場合があります。便に水分を保ち、排泄を促す作用のある下剤や、大腸を刺激して蠕動を促す作用の下剤などがあります。排便回数、便の性状にあわせて使い分けます。
脱毛
くすりを注射してから2から3週間過ぎた頃より、髪の毛が抜けてきます。脱毛時に頭皮がピリピリと痛むことがありますが、次第におさまります。この脱毛は一時的なもので、全ての注射を終了してから2から3ヶ月で回復し始めます。
爪の変化
爪が変色したり、時にははがれるなどの変化がみられることがあります。治療が終われば、多くの場合回復します。爪は短く清潔に保ちましょう。爪がはがれる、浸出液が出る、爪周囲が赤くはれて痛みがあるなどの場合には、担当医にご相談下さい。
その他注意すべき副作用
心毒性
ドキソルビシンには心臓に影響を及ぼす副作用があります。主な症状として、息切れ、動いた時の息苦しさ、胸痛、足のむくみ、頻脈(脈が速くなる)などがあります。
出血性膀胱炎
イホスファミドには腎臓に影響を及ぼす副作用があります。主な症状として、血尿、排尿時の痛み、頻尿、残尿感などがあります。
中枢神経障害
イホスファミドはごくまれに脳に影響を及ぼす副作用があります。主な症状として、ねむけ、手足のふるえ、意識障害、などがあります。
注射部位における皮膚障害
このくすりは、注射の際のわずかな漏れでも皮膚障害を起こすことがあります。くすりを注射している間に、その注射部位が赤く腫れたり、痛みを感じる場合には、すぐに医師・看護師へお申し出下さい。
その他、気になる症状がありましたら、医療スタッフにご相談ください。