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パクリタキセル週1回投与療法

乳がんの抗がん剤治療にはいろいろな治療法がありますが、パクリタキセル週1回投与療法(以下パクリタキセル療法)は最もよく用いられる治療法の一つです。

使用する抗がん剤

パクリタキセル注

パクリタキセルは、イチイ科の植物(学名:Taxus baccata)成分を原料として半合成された化合物です。細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分の一つである微小管を安定化および過剰発現させることにより、がん細胞の増殖を阻害します。このおくすりの投与により、くすりの成分や溶解補助剤が原因と考えられるアレルギー症状が報告されています。この症状を予防するために、抗アレルギー薬をあらかじめ投与します。また、添加剤として無水アルコールを含んでおりますので、アルコールに対しアレルギーのある方やお酒に弱い方は、お申し出下さい。        

パクリタキセル週1回療法による副作用

脱毛

脱毛は、パクリタキセルを開始し4から6回行った頃から出現し、投与期間中は継続します。しかし治療を終了してから2から3ヶ月で回復し始めます。

しびれ(末梢神経障害)

パクリタキセル週1回投与療法の場合、10人に5から6人程度の割合でしびれを感じる方がいます。症状の出る時期には個人差がありますが、多くは5から6回目の投与あたりから出てきます。いったんしびれが出てから軽い症状のままでは推移することもありますが、投与を重ねる毎に強くなる場合もあります。しびれがひどい場合には、刺すような痛み・焼けるような痛みを感じたり、細かい作業がしづらくなったり、歩きにくさを感じたりする方もいます。この症状は、手袋と靴下の着用範囲に起こりやすいと言われています。軽度の症状の場合、投与が終了してから数ヶ月以内に回復してくることが多いですが、症状が強い時には回復までに1年以上かかることがあります。

関節痛・筋肉痛 

一般的に、パクリタキセル週1回投与療法の場合、20人に1人程度の割合で関節痛・筋肉痛を感じる方がいます。くすりを注射してから2から3日後に症状が現れ、数日以内におさまってきます。とくに背中や足の関節・筋肉で痛みを感じることが多いです。もしこの症状が現れた場合は以下の対策を参考にして下さい。

注射部位における皮膚障害  

このくすりは、注射の際のわずかな漏れでも皮膚障害を起こすことがあります。くすりを注射している間に、その注射部位が赤く腫れたり、痛みを感じる場合には、すぐに医療スタッフへお申し出下さい。

アレルギー

アレルギーは、異物から自身を守るためのシステムが過剰に働いた際に起こります。アレルギーには、皮膚に湿疹が出来るような軽症のものから、血管が拡張し血圧が低下するような重篤なものまであります。このアレルギーを予防するため、パクリタキセルを投与する前に抗アレルギー作用のあるくすりを注射いたします。ほとんどの方は予防薬によって過敏症を予防できるのですが、点滴中にじんま疹ができたり顔がほてってきたりした場合、冷や汗が出て気分が悪くなったりした場合には医療スタッフにお申し出下さい。また抗アレルギー作用のあるくすりにより眠くなることがあります。点滴後、当日の車の運転は控えた方が良いでしょう。

爪の変化  

爪が変色したり、時にははがれるなどの変化がみられることがあります。爪は短く清潔に保ちましょう。爪がはがれる、浸出液が出る、爪周囲が赤くはれて痛みがあるなどの場合には担当医にご相談下さい。

白血球減少

白血球は、体内へ細菌が入り込まないように守っている血液成分の1つです。一般的に抗がん剤を注射してから1から2週間目に白血球の数が少なくなり、3から4週間目で回復してくるといわれていますが、このパクリタキセル毎週1回投与療法ではあまり白血球の減少は低下しません。ただ白血球が減少すると細菌に対する防御能が低下し、発熱や感染を起こす可能性がありますので、扁桃炎・虫歯・歯槽膿漏・痔などがある方は、あらかじめ担当医へご相談下さい。
また発熱(38℃以上)や下痢などの症状が重なりつらい時は、病院へ連絡して下さい。

吐き気

パクリタキセル週1回投与療法は、吐き気の症状が現れることがありますが、一般的には軽度です。もしこの吐き気が現れた場合は、担当医に伝え、吐き気止めの工夫をしてもらって下さい。また口の中を清潔にしたり、室内の換気を十分にすることで予防することもできます。趣味を楽しみ、気を紛らすこともときに効果的です。

その他気になる症状がありましたら、医療スタッフへご相談下さい。

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