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国立がん研究センター 中央病院

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がん患者さんに対する新型コロナウイルスワクチンの接種について

更新日:2021年10月20日
国立がん研究センター中央病院


新型コロナウイルスワクチン(以下、コロナワクチン)の接種が開始されました。
治療中のがん患者さんなどは、様々な疑問や不安があるかもしれません。
以下に、がん患者さんでのコロナワクチンの有効性や安全性、抗がん剤治療中のワクチン接種時期、副反応などをまとめましたので、ご参考になさってください。

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がんの治療中にコロナワクチンを接種してもよいですか?また、がんにかかっている場合、コロナワクチンの接種は安全ですか?        

がんの治療中の方も、経過観察中の方も、接種していただいて問題ありません。
がん患者さんでもコロナワクチンを他の人と同じように安全に受けて頂けます。

がんの治療方法によっては、コロナワクチンの接種時期を調整した方がよいものはありますか?                                      

がんの治療方法とコロナワクチンの接種時期の関係は現在のところまだよくわかっていません。ただ、コロナワクチンを接種するために、がんの治療を遅らせることはしないでください。基本的にはコロナワクチンが接種できるタイミングで接種していただいて結構です。
もし、コロナワクチンの接種時期を調整できるのであれば、ワクチンの有効性という観点からは、強い免疫抑制がかかっている時期を避けて接種を受ける選択肢もあると思います。

強い免疫抑制がかかる治療以外に接種時期の調整を考えた方が良いケースはありますか?

明らかな発熱を呈している、重篤な急性疾患にかかっていることが明らかである、接種しようとする接種液の成分に対してアナフィラキシーを呈したことが明らかである、その他の理由により予防接種を行うことが不適当な状態である、といったワクチン接種不適当者にはワクチン接種をしないことになっています。
がん患者さんにも様々な状況の方がいらっしゃると思いますが、例えば、がんの進行などにより全身状態があまり良くないような場合や発熱が続いているような場合などには、無理にコロナワクチンを打つ必要はないと思います。そのような場合は主治医の先生と相談し、接種時期について慎重に判断することが大切です。

がんの治療中で免疫が低下している場合、コロナワクチンを接種することで、コロナウイルスに感染してしまうことはありますか?                       

コロナワクチンは生きた新型コロナウイルスを含むワクチンではないので、接種が原因で新型コロナウイルスに感染することはありません。

血液がんにかかった場合、特に造血幹細胞移植を受けた場合、コロナワクチンを接種してもよいですか?                                   

血液がんにかかった場合でもコロナワクチンを接種して差し支えありません。
造血幹細胞移植を受けた場合には、ガイドラインに示されている不活化ワクチンと同様のタイミングで接種を受けて良いと考えられていますが、十分なデータがないので、新型コロナウイルス感染症の流行状況を勘案した上で、主治医とよくご相談ください。

ファイザー社やアストラゼネカ社、モデルナ社のコロナワクチンがありますが、がんにかかった場合、ワクチンの種類を選んで受けた方がよいですか?           

臨床試験でのワクチン効果、有効性に関しては若干、数値的には違いがありますが、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を抑えるという意味では、いずれのワクチンも同じように有効であると考えられています。最近では、発症だけではなく感染自体を抑制する効果もあるという研究結果も出てきています。

コロナワクチンの接種によるがん患者特有の副反応はありますか?     

現時点での報告では、がん患者さんに特有の副反応が出ることは言われていません。
ただ、現在のコロナワクチンは新しいワクチンで接種が始まったばかりです。短期的、あるいは長期的な安全性について注意深いフォローアップは必要です。

過去にワクチン接種でアレルギー反応があった場合、どのように対応すればよいですか?

どのようなワクチンでどのようなアレルギー反応があったかにもよりますが、例えば過去にワクチン接種でアナフィラキシーのような重いアレルギー反応があった場合は、十分な注意をはらった上で接種することになります。ただし接種するワクチンの成分に対してアナフィラキシーを起こしたことが明らかな場合には接種できません。

がん治療は一段落して、現在は経過観察のみになっています。コロナワクチンを接種する時、主治医に事前に相談してからの方がよいですか?                   

コロナワクチン接種の予診票に治療中の病気について記載するので、予診医から「かかりつけの先生に相談しましたか」と聞かれることがあります。ご心配でしたら主治医にご相談いただくのが良いと思いますが、既にがんの治療が一段落して現在経過観察のみというような場合、コロナワクチン接種の判断に、主治医のコメントは必ずしも必要ないと考えます。

現在、がん治療後の経過観察も終了して、通院はしていません。コロナワクチンを接種する時、以前通院していた病院に事前に相談した方がよいですか?

かかりつけだった医師に相談する必要はありません。そのまま会場に行っていただいても大丈夫です。地元の接種できる医療機関・会場で接種していただくのがよいでしょう。

コロナワクチン接種の副反応が心配です。どのような副反応がありますか?       

ほとんどの人が接種した部位の痛みを感じています。それはコロナワクチンに対する体の反応ため、やむをえません。接種してすぐには痛くはありませんが、あとから痛みが出てきます。また倦怠感を訴える方、熱が出る方も多く、特に2回目の接種後は頻度が高くなるようです。それもコロナワクチンに対する体の反応と理解していただければ良いと思いますし、多くは3日以内に軽快するので、それほど心配する必要はありません。
一番注意しなくてはいけないのがアナフィラキシー症状です。頻度的には他のワクチンと大きく変わりありませんが、もともとアレルギー体質の方での発症率は高いという報告があります。もしアナフィラキシー症状が起きた場合にはアドレナリンを注射するなど適切な対応を取る必要があります。接種会場では、アナフィラキシーなどが起きた場合すぐに対応できる準備がしてありますので、安心して接種していただいて良いでしょう。
接種後は、通常15分程度経過観察してから帰っていただきますが、他のワクチンでアナフィラキシーなどアレルギー症状を起こしたことがある方は30分ぐらい様子をみてからお帰りいただくようにしています。

 

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小児のがん患者の場合、感染リスクはどれくらい高いですか?また感染した際に重症化しやすいでしょうか?

小児も新型コロナウイルス感染症に罹患しますが、成人と較べて感染者数は少なく、重症化することは稀とされています(1)。厚生労働省の集計では、2021年10月12日までで、10歳代の入院例に対する重症化率は0.4%と低く、死亡例は1,728,05例中3例のみです(2)。また10歳未満の小児の感染者は92,105例集積されていますが、重症例、死亡例の報告は1例もありません(2)。感染経路に関して、小児の場合成人からの家族内感染が多くを占めています(1)

小児がんの患者さんが新型コロナウイルス感染症に罹患するリスクは、小児自体の感染リスクが低いことから、過度に心配する必要はないと考えられます。また重症化リスクに関しても、成人と較べて低いと考えられますが、健常小児と比較した場合には、小児がんの患者さんの方が重症化のリスクが高くなるという報告(3)もあるので、注意は必要です。

文献

(1)日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会:小児における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状と感染対策についての見解(2021年10月19日アクセス)
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=369(外部サイトにリンクします)

(2)厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)(2021年10月19日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000843320.pdf(外部サイトにリンクします)

(3)Mukkada S, Bhakta N, Chantada GL, et al.: Global characteristics and outcomes of SARS-CoV-2 infection in children and adolescents with cancer (GRCCC): a cohort study. Lancet Oncol 2021; 22: 1416–26

小児のがん患者は、新型コロナワクチンを接種した方が良いでしょうか。小児での安全性、副反応は?

前述のとおり、小児がんの患者さんでは、重症化リスクが健常な小児よりも高くなる可能性があるので、成人のがん患者さんと同様に新型コロナワクチンを積極的に接種することが推奨されます。ただし現在小児領域で使用できるワクチンは、メッセンジャーRNAワクチン(mRNAワクチン)のコミナティー筋注(ファイザー社)とCOVID-19ワクチン モデルナ筋注(モデルナ社)の2種類で、いずれも接種できるのは12歳以上の小児のみになります。12歳未満の小児に対して接種できる新型コロナワクチンはまだ開発されておりませんので、12歳未満のがん患者さんに対しては、日頃の感染防止対策に注意するとともに、周囲の成人や思春期の青少年がワクチンを接種することで、感染を拡げないように配慮していただくことが大切です。
小児での安全性に関して、海外の臨床試験(1)では、接種部位の疼痛、発熱、全身のだるさ、頭痛など若年成人で見られる副反応と同様の副反応が認められています。ただ、小児の被接種者はまだ成人ほどは多くないので、最近10歳代、20歳代の男性で報告されている心筋炎などのことも含め、今後も注意してみていく必要があります(2)

文献

(1)Frenck RW Jr, Klein NP, Kitchin N, et al.: Safety, Immunogenicity, and Efficacy of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Adolescents. N Engl J Med. 2021 Jul 15;385(3):239-250. doi: 10.1056/NEJMoa2107456. Epub 2021 May 27.

(2)第70回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第19回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料(2021年10月15日開催)資料1-1-1.(2021年10月19日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000844075.pdf(外部サイトにリンクします)

小児のがん患者は、優先してコロナワクチンを接種できますか?

特に小児がんの患者だということでの優先措置はありませんが、既に12歳以上の小児も臨時接種の対象に含まれておりますので、ワクチンを接種できる状態であればいつでも接種することは可能です。

 

参考リンク集

各種がん学会

日本癌学会|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A -患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版- (外部サイトにリンクします)

一般社団法人日本癌治療学会 | 癌治療の案内板 (外部サイトにリンクします)

日本臨床腫瘍学会 | 新型コロナウイルス感染症 関連情報 | お知らせ(外部サイトにリンクします)

厚生労働省

新型コロナワクチンの接種についてのお知らせ|厚生労働省 (外部サイトにリンクします)

ファイザー社のワクチンについて|厚生労働省 (外部サイトにリンクします)

アストラゼネカ社の新型コロナワクチンについて|厚生労働省 (外部サイトにリンクします)

武田/モデルナ社の新型コロナワクチンについて|厚生労働省 (外部サイトにリンクします)