食道外科
はじめに
食道外科グループでは、消化管内科、放射線治療科、放射線診断科との密な医療連携のもと、食道から発生する悪性腫瘍に対して、進行度と患者さんの状態に応じたからだへの負担が少ない外科治療を行っています。さらに、治療成績向上のため、術前補助療法と手術技術に重点を置いた研究と開発も行っています。

「食道がん ”多様な治療法” Japan Cancer Forum 2017」
講演者:大幸 宏幸(国立がん研究センター 食道外科長)(YouTubeにリンクします)
ロボット支援食道がん手術を開始
当院では安全性に関する臨床試験を行い、既に最新鋭機ダヴィンチXiを用いた食道がん手術を保険診療で行なっています。

da Vinci Xi
手術・縫合動画(YouTubeにリンクします)
「ダヴィンチ」は、「自由度の高い精密で安定した多関節機能、高精細な3次元拡大映像」を兼ね備えています。このロボットを熟練した外科医が操作することで「機能を温存した食道がん切除が、より確実に」行うことができます。
「ダヴィンチ」の構成
ロボットが自分の意志で手術をするわけではありません。精密な内視鏡下手術を行うことを支援するための最新鋭コンピュータであり、外科医の意志で4本のアームを操り手術を行います。執刀は日本内視鏡外科学会技術認定取得医かつIntuitive Surgical社による認定を受けた医師が行います。
執刀医が手元の操縦桿を操作すると、手の動きがコンピュータを通してロボット本体のアームに忠実に伝わり、連動して実際の操作を行います。
「ダヴィンチ」の機能
従来の内視鏡下手術では不可能とされていた動きが可能になったことで、より繊細かつ正確な手術が可能となります。
- 多関節機能:人間の手首にように、自由に屈曲・回転
- モーションスケーリング機能:大きな手の動きを小さな鉗子の動きに変換
- 手ぶれ防止機能:人間の自然な手ぶれが鉗子に伝わらないように自動補正
- 安定した高解像度3Dカメラ:微細解剖に沿った手術による臓器機能温存
手術を希望される方、もっと詳しくお知りになりたい方
費用や適応などに関してさらに詳しくお知りになりたい方は、当院食道外科外来を受診し、ご相談ください。セカンドオピニオンも承っています。
関連リンク
食道がんに対する手術症例数
COVID-19により医療体制の逼迫するなか、多くのご支援を賜り感謝申し上げます。今後もがん拠点病院として、周りとの密な連携を築き上げ、食道がん治療に尽力致します。
2022年度は180例の食道がん手術(胸部食道切除)を行っており、約97%の患者さんが低侵襲手術(からだへの負担が少ない手術=ロボット、胸腔鏡、縦隔鏡、2期分割手術)を受けられました。特に、ロボット手術の症例数は増加傾向であり、今後もさらなる低侵襲手術の開発に尽力致します。
当科での手術について詳しく知りたい方は食道がんの手術についてをご覧ください。
「 からだへの負担が少ない食道癌手術 」胸腔鏡によるがん切除と腹腔鏡による再建術
食道癌の治療は新しいステージへ
からだへの負担が少ない食道癌手術=「集学的低侵襲性外科治療」
からだへの負担が少ない食道癌手術=集学的低侵襲性外科治療とは、手術前に抗がん剤や放射線治療でがんを小さくして(NEO)、胸腔鏡によるがん切除と腹腔鏡による再建術を行い(OPE)、術前から専門性が高い医療スタッフによる支援(CARE)を受け社会復帰を目指す、新しい治療体系のことを言います。
胸部食道癌だけではなく、頸部食道癌・食道胃接合部癌にも対応させていただきます。