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国立がん研究センター 中央病院

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高度進行がんに対しても根治的な外科治療を

はじめに

肝胆膵領域の腫瘍は、近くに肝動脈や門脈、下大静脈などの太い血管が存在し、浸潤を来たしやすいことから、発見された時には切除不能と診断されることが少なくありません。しかし、当院では、このような場合でも、抗がん剤や放射線治療などを行うことによって腫瘍を小さくし、その後に手術を行う「集学的治療」と言われる方法や、血管の合併切除・再建を伴う手術に積極的に取り組んでいます。最近、効果の高い抗がん剤が登場してきたことや、血管を一緒に取ってつなぎ直す手術が安全にできるようになってきたことにより、腫瘍が遺残なく切除でき(根治切除と言います)、治癒あるいは長期生存が得られる患者さんが増えています。

また日頃から、肝胆膵内科、大腸外科、腫瘍内科、内視鏡科、放射線診断科などと合同の検討会を定期的に実施しておりますので、内科的治療がよく効いた患者さんは、最も良いタイミングで手術を受けることができます。

膵臓がんの場合

上腸間膜動脈や腹腔動脈を巻き込んでいるステージ3(T4)の膵癌や、肝動脈に接している膵癌は、「切除可能境界」、あるいは「局所進行切除不能」膵がんと言われ、このまま切除を試みてもきれいに切除することができない、あるいはできたと思ってもミクロのがんが体内に残存し、早期に再発が来たしやすことが知られています。

この様な場合、当院では、数か月間、抗がん剤治療(+放射線治療)を行って、腫瘍を小さくすると共に、新たな遠隔転移が出現していないこと、および、腫瘍マーカー(CEACA19-9など)が減少していることが確認できた場合、手術を行っています。

抗がん剤治療(+放射線治療)がどれくらい有効かを、治療開始する前に予測することはむつかしいため、術前治療期間は短い場合3か月~長い場合には1年以上など患者さんにより異なります。当院に通院困難な患者さんの場合には、自宅近くの病院と連携して内科治療を行っていただき、手術を当院で行うということも可能です。

なお、抗がん剤治療を行っても腫瘍が進行する場合には、手術は行わず、内科的治療を継続することになります。
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胆道がんの場合

胆道がんは、腫瘍の部位により肝内胆管がん、肝門部領域胆管がん、遠位胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がんのいずれかに分類されますが、特に肝内胆管がんや肝門部領域胆管癌は、近くに存在する太い血管に腫瘍がくっつき(浸潤と言います)、きれいに取り除くためには血管の合併切除が必要となることがあります。当院では、肝動脈や門脈、下大静脈などに浸潤した胆道がんに対しても血管合併切除、再建を行い、根治切除を得ています。
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肝臓がんの場合

肝臓がんは、しばしば門脈や肝静脈、あるいは胆管内へ腫瘍栓として進展することがあります。特に門脈本幹や下大静脈へ進展した肝細胞癌に対する手術は、高難度な手術となりますが、当院ではそのような腫瘍に対しても多数の手術経験があります。
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肝転移の場合

肝転移を有する大腸・直腸がんや、神経内分泌腫瘍の患者さんでは、転移個数が多いため、あるいは転移腫瘍が大きいために当初、手術が不可能と診断されることがあります。このような場合には全身化学療法を行いますが、近年の抗がん剤の進歩や分子標的薬の登場により、内科的治療中に腫瘍が劇的に小さくなったり見えなくなったりして、手術が可能となることがしばしばあります。このような患者さんについては術前画像シミュレーションを行った上で(リンク)、多数の転移を残らず切除するようにしています。
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手術後の経過

このように長期間に渡る抗がん治療の後に手術を行った場合や、血管の合併切除を伴う手術を行った場合でも、術後合併症の発生率は、当院では通常の手術と大きく変わらず、安全に実施できています。また予後(手術後の生存率)は下のグラフに示す通りで、腫瘍の種類や部位により異なりますが、元々進行癌であったとしても、以上のような治療を行うことで、治癒や長期生存が得られている患者さんが増えています。

当初切除不可能で、内科的治療後に切除できた膵臓がん患者さんの予後(当院)

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門脈に腫瘍栓がある肝臓がん患者さんの予後(
門脈進展度別、当院)

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内科的治療後に切除できた大腸がん肝転移患者さんの予後(当院)

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手術できる、できないについては、患者さんの全身状態、腫瘍の進行度、採血データなど色々な要素に基づいて決定する必要があり、ご希望の場合には、がん相談対話外来(セカンドオピニオン外来)も随時受け付けておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。