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治療選択肢の可能性を求めて(患者申出療養)

遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく250526_BELIEVETrial_logo_color_fix_ol.jpg
複数の分子標的治療に関する患者申出療養について

研究目的

遺伝子パネル検査後の治療選択肢を増やす

がん遺伝子パネル検査結果によりアクショナブルな遺伝子異常を有する患者を対象に、それぞれの遺伝子異常に対応する適応外薬を添付文書に基づいて投与し、治療経過についてのデータを収集する。

  • 2019年10月1日から開始
  • 複数の分子標的薬をひとつのプロトコール内で行うマスタープロトコール
  • 治療効果の散逸を避け、有効性と安全性の情報を蓄積する
  • 本試験結果を参考に、治験“立案“につながることが期待される

研究実施体制

研究実施体制

  • 国立がん研究センター中央病院が全体の調整事務局となり、がんゲノム医療中核拠点病院13施設で行う多施設共同研究
  • 賛同が得られた企業から薬剤無償提供を受け、患者の負担軽減をはかる

対象(主な適格規準)

  • 登録時の年齢は問わない(ただし15歳未満は添付文書に小児用法用量の記載がある薬剤のみ登録可)
  • 固形腫瘍
  • 保険適用または評価療養として実施されたがん遺伝子パネル検査の結果、がんゲノム医療中核拠点病院/拠点病院のエキスパートパネルで適応外薬が推奨された場合(エビデンスレベルD以上)
  • 実施中の治験または先進医療の対象でない

対象となるがん遺伝子パネル検査

保険適用/評価療養 OncoGuideTM  NCCオンコパネルシステム
  FoundationOneR CDx がんゲノムプロファイル
  FoundationOneR Liquid CDx がんゲノムプロファイル
  Guardant360 CDx がん遺伝子パネル
  GenMineTOP がんゲノムプロファイリングシステム
  TruSight Oncology Comprehensiveパネルシステム
先進医療B TodaiOncoPanel
  OncomineTM Dx Target Test
  TruSight Oncology 500

試験組み入れ方法

Fig2.jpg
  • エキスパートパネルの判断 (がんゲノム医療中核拠点病院/拠点病院)

分子標的薬がエビデンスレベルD以上で推奨される(C-CATレポートに本試験が記載されていても、エキスパートパネルで推奨されなければ対象とはならない)

  • 研究責任医師/分担医師の判断 (がんゲノム医療中核拠点病院)
yazirusi.jpg

  治験や先進医療への参加が優先される
  実施中の治験または先進医療の対象かどうか?

  がん種横断的な第1相試験などを含め、治療選択肢が検索される

本試験への参加

Fig3.jpg
●プロトコール治療:用法用量は添付文書の記載に従う
●主要評価項目:16週までの奏効割合
●各医薬品コホート:80例(測定可能病変あり 50例/なし 30例)


 

 

参加施設(実施医療機関)

実施医療機関名 実施医療機関名
国立がん研究センター中央病院● 静岡県立静岡がんセンター
北海道大学病院● 名古屋大学医学部附属病院●
東北大学病院● 京都大学医学部附属病院●
国立がん研究センター東病院 大阪大学医学部附属病院
慶應義塾大学病院 岡山大学病院
東京大学医学部附属病院 九州大学病院
公益財団法人がん研究会有明病院  

注:「●」の施設のみ小児患者(15歳未満の患者)登録可能

医薬品リストと登録状況

2026年8月17日現在

販売名
(一般名)

小児患者
の登録

登録状況

実績

学会

論文

その他発表

ノバルティスファーマ株式会社

ジカディア錠
(セリチニブ)

―

終了

 

 

 

グリベック錠
(イマチニブメシル酸塩)

―

終了

 

 

 

アフィニトール錠/分散錠
(エベロリムス)

〇

登録中

 

 

 

タフィンラーカプセル
(ダブラフェニブメシル酸塩)

―

終了

JSMO
2026

 

 

メキニスト錠
(トラメチニブジメチルスルホキシド付加物)

―

終了

ASCO
2025

 

公知申請の会議資料

ヴォトリエント錠
(パゾパニブ塩酸塩)

―

登録中

 

 

 

併用療法

タフィンラーカプセル
(ダブラフェニブメシル酸塩)

―

終了

ASCO
2023

eClinical Medicine

適応拡大に関するプレスリリース

メキニスト錠
(トラメチニブジメチルスルホキシド付加物)

タシグナカプセル
(ニロチニブ塩酸塩水和物)

〇

登録中

 

 

 

ジャカビ錠
(ルキソリチニブリン酸塩)

-

終了

 

 

 

タブレクタ
(カプマチニブ塩酸塩水和物錠)

―

登録中

 

 

 

中外製薬株式会社

アレセンサカプセル
(アレクチニブ塩酸塩)

〇

登録中

 

 

 

ハーセプチン注射用
(トラスツズマブ(遺伝子組換え))

―

終了

 

 

 

テセントリク点滴静注
(アテゾリズマブ(遺伝子組換え))

―

終了

ESMO
2025

 

 

ロズリートレクカプセル
(エヌトレクチニブ)

〇

登録中

 

 

 

小野薬品工業株式会社

オプジーボ点滴静注
(ニボルマブ(遺伝子組換え))

―

終了

JSMO
2025

Cancer Science 

 

併用療法

ビラフトビカプセル
(エンコラフェニブ)

―

終了

ESMO
2024

 

 

メクトビ錠
(ビニメチニブ)

ファイザー株式会社

ザーコリカプセル

(クリゾチニブ)

―

登録中

 

 

 

大塚製薬株式会社

アイクルシグ
(ポナチニブ塩酸塩錠)

―

終了

 

 

 

日本イーライリリー株式会社

ベージニオ錠
(アベマシクリブ)

―

終了

 

 

 

武田薬品工業株式会社

ゼジューラ錠(ニラパリブ)

―

終了

 

 

 

インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社

ペマジール錠(ペミガチニブ)

―

終了

 

 

 

大鵬薬品工業株式会社

リトゴビ錠(フチバチニブ)

―

登録中

 

 

 

薬剤はすべて企業からの無償提供

保険外併用療養費制度、患者申出療養とは

わが国の公的医療保険のもとでは、原則として、保険適用の療養と、保険適用がされていない療養を同時に併用することは許されていません。ただし、例外として、厚生労働大臣から、治験や先進医療といった評価療養、患者申出療養という制度の下で行うことが許された保険適用がなされていない療養については、例外的に保険診療と同時に併用することができます(保険外併用療養費制度といいます)。その保険適用外の療養にかかる費用は、患者さんから徴収することが可能となっています。詳しくは厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001471580.pdf(PDF:1.27MB)外部サイトにリンクします)をご確認ください。

先に述べた患者申出療養とは、困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者さんの申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものです。患者さんの申出をもとに、臨床研究中核病院が臨床研究を立案し、患者さんの希望する療養を臨床研究として実施する制度です。
制度に関した詳細は、厚生労働省のページ(https://www.mhlw.go.jp/moushideryouyou/外部サイトにリンクします)をご確認ください。

遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養立案の背景、詳細および注意点について

がん遺伝子パネル検査を行った場合、その結果に基づいて適応外薬が推奨される割合は、米国の研究データによると、9%程度とされています(図1)。先に説明したように、もし患者さんが適応外使用を希望する場合には、治験や先進医療などの、適応外使用が許される臨床試験に参加する必要があります。

図1 がん遺伝子パネル検査の結果に応じた治療方針(MSK-IMPACT;468遺伝子のパネル、N=10,945例)
  平成30年11月22日患者申出療養評価会議(参考資料4)を改変

Fig4.jpg
ただし、適応外薬が推奨されたものの、国内で実施可能な治験などの対象とならない方も一定の割合でいらっしゃいます。そのため、今回、国立がん研究センター中央病院が計画したのが、そのような治験などの対象とならない方へ治療機会を検討する臨床試験(研究)です。
対象となるがん遺伝子パネル検査は、保険診療又は先進医療で実施可能ながん遺伝子パネル検査で、検査結果に対する専門家会議 (エキスパートパネルと呼ばれています) によって、研究で使用可能な医薬品が推奨された場合に、その投与を検討できます。

図2 医療技術の概要図
(遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養)

Fig5.jpg
  • 国立がん研究センター中央病院が全体の調整事務局となり、がんゲノム医療中核拠点病院で行う多施設共同研究。
  • 無償提供に同意いただいた製薬企業の医薬品は、医薬品に関しては患者の費用負担なく実施が可能となる。

がん遺伝子パネル検査の結果により本研究の対象となっている医薬品が推奨された患者さんは、当院のような実施中の医療機関へ紹介をされることで、研究参加が検討されます。ただし、仮に、同じ医薬品や類似した医薬品が推奨されている場合であって、治験や先進医療が実施されている場合、一般的には治験等の方が、より薬事承認などにつながる研究になります。そのため、そういった治験を含めて総合的に検討の上、治療を検討します。(図2)
本試験への参加を検討いただく際に、注意点がいくつかありますので、以下に列挙します。

  • 本試験に参加するにあたっては、患者さんの病気に対して治療した成績が十分にはない適応外薬を投与することから、安全性が不明な部分も多くあります。未知の副作用が出現するかもしれません。そのため、患者さんにより安全に治療を受けていただくため、本研究に参加する患者さんの体調などの条件には、一定の制限を設けさせていただいています。
  • 本試験に登録されても、すぐに医薬品が投与できるわけではありません。本試験に登録された後に、治療開始前に医薬品提供の製薬企業における再チェックが必要な場合があります。そのため、実際に投与が可能になるまで、1ヵ月半程度時間を要する可能性があります。原則として、その投与開始までの間、別の抗がん剤治療を受けていただくことはできません。
  • 患者申出療養という国の制度の下で実施していただくため、がんゲノム情報センターに、既に実施されたがん遺伝子パネル検査のデータ提出、さらに過去から今後の治療データを登録することについて、同意していただくことが必要です。
  • 本試験に参加することで、費用が必要になることがあります。本来は、今回対象となる医薬品と研究運用に関わる費用を、患者さんにご負担いただくことになります。医薬品は複数種類あるとご説明いたしましたが、薬剤費にしたら4週間あたり約25万円から165万円強に相当する医薬品(注)までが対象になっています。しかし、本試験においては、2026年8月時点で対象となる医薬品は、全て製薬企業から無償提供されています。ただし、臨床試験実施に係る費用については、参加される患者さんお一人お一人から、別途いただくことになります。受診する医療機関によって異なりますが、国立がん研究センター中央病院では、37万円程度、投与開始日に一括でご負担いただくことになります。(注:2020年4月1日時点の薬価計算による試算)
  • 定期診療・検査や入院などにかかる費用については、保険診療で行われます(ご自身の保険に応じた自費負担分は支払いが必要です)。
  • 2021年1月の患者申出評価会議で承認された変更事項として、本試験は小児の患者さんも対象となるよう、改訂しております。小児患者さんへ投与可能となる薬剤は本邦で小児用法用量のある薬剤に限られておりますので、ご注意ください。
  • 現時点では、全国のがんゲノム医療中核拠点病院13施設で実施可能です。(小児登録可能な施設は6施設)

 

がん遺伝子パネル検査が2019年6月より保険診療で実施可能となりました。しかし、実際にその結果として治療の選択肢に結びつくのは1割弱の患者さんです。
がん遺伝子パネル検査の結果に基づいて治療薬が推奨された患者さんの中で、治験や他の臨床試験に参加できない患者さんに対し、本試験を通じて適応外薬の治療を提供することで、少しでも多くの患者さんに治療の機会を提供できるよう、国立がん研究センター中央病院は、今後も研究センターとしての役割を担っていきます。

これまでの実績

      • メキニスト・タフィンラー
        論文発表:Tatsunori S, Kuniko S, Makoto T, et al. Phase II trial of dabrafenib and trametinib administration in patients with BRAFV600E/R or non-V600 BRAF mutated advanced solid tumours: the BELIEVE trial (NCCH1901). eClinical Medicine. 2024;69:102447.
        学会発表: Phase II Trial of Dabrafenib and Trametinib in Patients with BRAFV600E/R or Non-BRAFV600 Mutated Advanced Solid Tumors: Results From the BELIEVE trial (NCCH1901). ASCO 2023.
        同薬剤の適応拡大に際するプレスリリースはこちら
      • オプジーボ
        論文発表:Masashi K, Tatsunori S, Kuniko S, et al. Phase II trial of Nivolumab in Advaanced Solid Tumors Based on Genomic Profiling: BELIEVE trial (NCCH1901) Subcohort. Cancer Science. 2026; 0 1-8.
        学会発表:Phase II trial of nivolumab in advanced solid tumors based on genomic profiling: BELIEVE trial (NCCH1901) subcohort. JSMO 2025.
      • ビラフトビ・メクトビ
        学会発表:Phase II trial of encorafenib and binimetinib in patients with BRAFV600E/R or non-BRAF V600 mutated advanced solid tumors: Results from the BELIEVE trial (NCCH1901). ESMO 2024.
      • メキニスト
        学会発表:Phase II trial of trametinib in patients with advanced solid tumors harboring genomic alterations in the MAPK pathway: Results from the BELIEVE trial (NCCH1901). ASCO 2025
      • テセントリク
        学会発表:Phase II trial of atezolizumab in patients with advanced solid tumors: Results of atezolizumab cohort in the BELIEVE trial (NCCH1901). ESMO 2025
      • タフィンラー
        学会発表:Phase II trial of dabrafenib monotherapy in solid tumors with BRAF mutations; a cohort of the BELIEVE/NCCH1901 trial. JSMO 2026
      • その他
        論文発表:Ando Y, Shimoi T, Sunami K, et al. Progress Report of a cross-organ and biomarker-based basket-type clinical trial: BELIEVE trial. Cancer Sci. 2024;115: 555-563.
        学会発表:
        ・患者申出療養制度を利用した治療機会提供の取り組み-NCCH1901試験を通じて。JSMO 2024
        ・Accessibility to off-label drugs after Cancer Genomic Profiling tests in Japan -patients with BRAF V600E mutation. JSMO 2025.
        ・バスケット型の臨床試験(患者申出療養 NCCH1901試験)における試験薬管理に関する取り組み。JSCTR 2026

    関連ファイル

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