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大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けられる方へ
更新日 : 2026年3月2日
目次
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?
- このような方は大腸カメラをご検討ください
- 大腸カメラで発見できる主な病気
- 苦痛を軽減するための取り組み
- 検査の流れ(準備から検査後まで)
- 検査後の注意点
- 大腸カメラ検査に関するよくあるご質問
- 中央病院 内視鏡科 消化管内視鏡を受診される皆様へ
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?
大腸全体を直接観察・処置できる唯一の検査
大腸消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸に至る大腸全域の粘膜を直接、高精細な映像で観察する検査です。
国立がん研究センター中央病院では、この基本的な役割に加え、がんの超早期発見と正確な診断を可能にするための技術を駆使しています。
当院では、拡大機能や特殊な光を用いて血管や粘膜の微細な模様を強調する画像強調観察(NBI、BLIなど)を標準的に使用します。
これにより、通常の内視鏡では見逃されがちな平坦な病変や微小ながんの発見率を飛躍的に向上させています。
これは、単に大腸内を「見る」のではなく、がんの兆候を「見つけ出す」ための専門的な診断技術であり、高いレベルの診断精度を支える基盤となっています。
胃カメラとの違い
消化管の内視鏡検査は、観察範囲によって上部消化管(食道・胃・十二指腸)と下部消化管(大腸)に大別されます。
国立がん研究センター中央病院の内視鏡科消化管内視鏡は、消化管の内視鏡診断・治療に特化したエキスパート集団です。
胃カメラ・大腸カメラといった従来の区分にとらわれず、食道から大腸に至る消化管全体を包括的に診療します。
診断から治療までを一貫して担当することで、極めて専門性の高い医療を提供します。患者様は、消化管のがんに対し、最も経験豊富で技術力の高い専門医によるより良いの検査・治療を受けることができます。
このような方は大腸カメラをご検討ください
国立がん研究センター中央病院は、紹介制を基本とする高度専門医療機関です。以下のような方が主な対象となります。
症状がある方(血便、腹痛、便通異常など)
血便や腹痛といった症状があり、かかりつけ医などで大腸がんが疑われた場合、紹介状をご用意の上で当院の受診をご検討ください。
特に、症状が改善しない、原因がはっきりしないといった場合には、より精密な検査が必要です。
便潜血検査で陽性と判定された方
健康診断やがん検診の便潜血検査で陽性となった方は、精密検査としての大腸カメラが必要です。
お近くの医療機関でまず検査を受け、そこでポリープやがんが発見された、あるいは診断が困難であった場合に、当院へご紹介いただくのが一般的な流れです。
他の医療機関で診断・治療が困難とされた方
「ポリープが大きすぎて切除できないと言われた」「早期がんだが手術を勧められた」など、他の医療機関で内視鏡による診断や治療が困難と判断された症例を積極的に受け入れています。
セカンドオピニオンを含め、ぜひご相談ください。
ご家族に大腸がんやポリープの既往歴がある方
遺伝性大腸がんのリスクが高いと指摘された方や、血縁者に若年で大腸がんを発症した方がいるなど、専門的なリスク管理やサーベイランスが必要な方は、当院での定期的な内視鏡検査が極めて重要です。
大腸カメラで発見できる主な病気
大腸がん
大腸がんの発見と治療において、内視鏡検査は根幹をなす重要な診断・治療手段です。
国立がん研究センター中央病院では、その役割を最大限に引き出し、あらゆるステージの大腸がんに対応する診断・治療体制を構築しています。
1. がんを「見逃さない」ための超精密診断
当院では、通常光での観察に加え、拡大内視鏡と画像強調観察(NBI/BLI)を標準搭載した高い水準の機器を使用しています。
これにより、粘膜表面の模様(ピットパターン)や微細な血管の走行を最大約100倍に拡大して詳細に観察することが可能です。
この技術を駆使することで、肉眼では判別困難な平坦型や陥凹型の微小ながん、あるいは将来がん化する可能性のあるポリープの初期変化を極めて高い精度で発見します。
私たちは、がんを「見つける」だけでなく、その「顔つき(悪性度)」までを見極める診断を行っています。
2. より良い治療法を選択するための「深達度診断」
大腸がんが内視鏡で治療できるか、あるいは外科手術が必要になるかを分ける最も重要な要素は、がんの「深さ(深達度)」です。
当院の専門医は、前述の拡大観察や画像強調観察で得られる情報から、がんが粘膜内にとどまっているか、あるいはその下の粘膜下層にどの程度浸潤しているかを、治療前に極めて高い精度で予測します。
この正確な深達度診断能力こそが、当院の最大の強みです。
この診断に基づき、患者様にとって最も身体的負担が少なく、かつ根治性の高い治療法(内視鏡治療か外科手術か)を的確に提案することが可能になります。
3. 外科手術を回避する高度な内視鏡治療「ESD」
診断の結果、がんが粘膜内または粘膜下層の浅い部分にとどまっていると判断された早期がんに対しては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行います。
ESDは、専用の電気メスを用いて、がん細胞を含む粘膜層を周囲から剥ぎ取り、一括で切除する高度な内視鏡治療です。
このESDは、当院が開発・発展を牽引してきた、世界に誇るべき治療技術です。
開発した施設だからこそ有する圧倒的な経験値と技術力で、他院では内視鏡治療が困難と判断されがちな、以下のような症例にも数多く対応しています。
- 5cmを超える大きな早期がん
- 線維化(粘膜が硬くなっている状態)を伴う治療後の再発がん
- 大腸のヒダの裏側など、アプローチが難しい部位のがん
従来であれば開腹手術や腹腔鏡手術が必要だったこれらの病変を、お腹に傷をつけることなく内視鏡のみで根治させ、患者様のQOL(生活の質)を維持することに全力を注いでいます。

図1 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) がん情報サービス〇より引用
4. 進行がんに対する内視鏡の役割
進行がんが見つかった場合でも、内視鏡の役割は終わりではありません。
確定診断と治療方針の決定
組織の一部を採取(生検)し、病理診断でがんを確定させます。
また、近年の個別化医療に不可欠な遺伝子パネル検査のための組織を確保する重要な役割も担います。
症状緩和と治療への橋渡し
がんによって腸管が狭くなり、便が通らなくなる腸閉塞を起こした場合、緊急的に大腸ステント(金属製の筒)を内視鏡で留置することがあります。
これにより、緊急手術を回避し、全身状態を整えてから安全に予定手術や化学療法へ移行することが可能になります(ブリッジ治療)。
このように、国立がん研究センター中央病内視鏡科消化管内視鏡は、早期がんの発見から低侵襲治療、進行がんの治療方針決定に至るまで、大腸がん診療のあらゆる局面で中心的な役割を果たしています。
大腸ポリープ(発見と同時に切除も可能)
大腸ポリープ、特にがん化する可能性のある腺腫性ポリープの発見と治療は、大腸がん予防の要です。
当院では、一般的なポリープ切除術(ポリペクトミー、EMR)はもちろんのこと、サイズが大きい、平坦で摘出が難しい、あるいは線維化を伴うなど、技術的に難易度の高いポリープに対しても、豊富な経験と高度な技術で対応します。
他院で切除困難と判断された症例も数多くご紹介いただいており、安全かつ確実な内視鏡治療を提供しています。
その他の疾患(炎症性腸疾患など)
当院はがん専門病院ですが、がんに関連する様々な疾患の診断・治療も行っています。
例えば、遺伝性大腸がん(リンチ症候群、家族性大腸腺腫症など)が疑われる方の精密検査や、サーベイランス(定期的な監視)内視鏡検査には豊富な実績があります。
また、外科手術後や放射線治療後の吻合部狭窄や再発の診断、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)に合併するがんの早期発見など、極めて専門的な領域にも対応しています。
苦痛を軽減するための取り組み
鎮静剤(セデーション)の使用
患者様の苦痛を最小限にするため、鎮静剤(静脈麻酔)を適切に使用し、眠っている間に検査が終わるように配慮しています。
安全性を確保するため、血圧や酸素飽和度などを常にモニタリングしています。
お腹の張りを抑える炭酸ガス(CO2)送気
検査後の腹部膨満感を大幅に軽減するため、体内に吸収されやすい炭酸ガス(CO2)を送気に使用しています。
これにより、検査後の不快感が少なく、速やかに日常生活に戻ることができます。
経験豊富な専門医による挿入技術
国立がん研究センター中央病院の最大の強みは、多くの経験と技術を持つ専門医が検査を行う点です。
年間数千件にのぼる豊富な症例経験に裏打ちされた高度な挿入技術により、腸を不必要に伸展させることなく、痛みや不快感を最小限に抑えたスムーズな検査を可能にしています。
検査の流れ(準備から検査後まで)
【検査前日】食事は20時頃までに済ませましょう
腸内を空にするため、検査前日は消化の良い食事(検査食)を摂っていただきます。
きのこ、海藻、繊維の多い野菜などは避けてください。夜20時以降は絶食となります。お水やお茶などの水分は摂取可能です。
医師の指示に従い、就寝前に下剤を服用していただきます。
【検査当日】食事はせずにご来院ください
検査が終わるまで食事はできません。
検査当日の朝から、ご自宅または院内で腸管洗浄液を服用し、腸内を完全に洗浄します。
排泄物が透明な液体になったら準備完了です。
【検査中】希望があれば、うとうとしている間に、検査は終わります
専門のスタッフが常駐する内視鏡センターにて検査を行います。希望があれば、鎮静剤を使用し、リラックスした状態で受けていただきます。
検査時間は通常15~30分程度で、痛みを感じることはほとんどありません。
拡大内視鏡など最新の機器で、専門医が小さな病変も見逃さず丁寧に観察します。必要に応じて組織採取(生検)やポリープ切除を行います。
【検査後】少しお休みいただいた後、結果を説明します
検査後は、鎮静剤の効果が覚めるまで30分~1時間ほど専用ルームでお休みいただきます。
意識が回復した後、看護師から注意事項の説明があり、次回外来時に担当医が内視鏡画像をお見せしながら、結果を詳しくご説明します。
ESDなど高度な治療を行う場合は、入院の上で経過を観察します。
検査後の注意点
食事について
ポリープ切除やESDを行った後は、切除部位からの出血(後出血)を防ぐため、1~2週間程度の食事制限が必要です。
アルコールや香辛料などの刺激物、脂っこい食事を避け、消化の良い食事を心がけていただきます。
生活上の制限(運動・入浴・飲酒など)
治療の侵襲度に応じて、運動、旅行、入浴などに関する制限があります。
特にESD後は数日間の入院が必要となり、退院後も一定期間は安静が求められます。担当医の指示を必ずお守りください。
大腸カメラ検査に関するよくあるご質問
Q. 検査は痛いですか?苦しいですか?
当院では、患者様が苦痛を感じることなく検査を受けていただけるよう、様々な工夫をしています。
まずは内視鏡のエキスパートが痛みのない挿入法を行います。
また必用や希望に応じて鎮静剤(静脈麻酔)を使用し、うとうとと眠っているようなリラックスした状態で検査を行いますので、痛みや不快感を覚えることはほとんどありません。
また、検査中のお腹の張りを軽減するため、体内に吸収されやすい炭酸ガスを使用しています。
さらに、数多くの症例を経験してきた専門医が、無理のないスムーズな内視鏡操作を行うため、身体への負担は最小限に抑えられます。
多くの方が「気づいたら終わっていた」という感想をお持ちです。安心して検査に臨んでください。
Q. 検査費用はどのくらいかかりますか?
検査費用は、健康保険が適用されます。自己負担割合(3割負担など)や検査の内容によって費用は異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- 観察のみの場合: 約5,000円 ~ 7,000円
- 組織を採取して調べる「生検」を行った場合: 約10,000円 ~ 15,000円
- ポリープを切除した場合(日帰り手術): 約20,000円 ~ 30,000円
上記は3割負担の場合の目安です。使用する薬剤やポリープの数・大きさによって金額は変動します。
より高度な治療(ESDなど)で入院が必要な場合は、費用が異なりますので、診察時に詳しくご説明します。
Q. 検査が終わった後、すぐに仕事に戻れますか?
検査内容によって異なります。
鎮静剤を使用した場合
安全のため、検査当日は車・バイク・自転車の運転は終日できません。
デスクワークなどの軽作業は可能ですが、判断力や集中力が低下することがあるため、重要な判断を伴うお仕事や危険な作業は避けてください。
ポリープを切除した場合
切除したポリープの大きさや数にもよりますが、出血のリスクを避けるため、数日間は飲酒や激しい運動、力仕事などを控えていただく必要があります。
デスクワークであれば翌日から可能な場合がほとんどですが、担当医の指示に従ってください。
Q. 紹介状がないと絶対に受診できませんか?
当院は、地域の医療機関と連携し、高度な専門医療を提供する「特定機能病院」です。そのため、初診の際には原則として他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)をお願いしております。
まずは、お近くのかかりつけ医や、健康診断を受けられた医療機関にご相談いただき、紹介状を作成してもらってください。
紹介状には、これまでの経緯や検査結果などが記載されており、私たちが患者様の状態を正確に把握し、スムーズで質の高い診療を行うために不可欠な情報となります。
他の医療機関で診断や治療が困難と判断された場合など、セカンドオピニオンをご希望の際は、専用のセカンドオピニオン外来もございますので、病院のホームページ等でご確認ください。
中央病院 内視鏡科 消化管内視鏡を受診される皆様へ
国立がん研究センター中央病院の内視鏡科消化管内視鏡は、がんの診断と治療における日本の最後の砦であるという気概と責任感を持って、日々の診療に取り組んでいます。
「がん」という病名は、誰にとっても大きな不安を伴うものです。私たちは、その不安に正面から向き合い、高い水準の医療技術と、患者様一人ひとりに寄り添う温かい心で、皆様を支えることをお約束します。
セカンドオピニオンも積極的に受け入れておりますので、どのような状況であっても、決して諦めることなくご相談ください。
メッセージ
このページをご覧になっているあなたは、ご自身や大切なご家族の健康について、深いご不安を抱えていらっしゃることと存じます。大腸カメラという検査、そして「がん」の可能性に、大きな緊張を感じておられるかもしれません。
私たち内視鏡医の使命は、ただ病変を見つけ、治療することだけではありません。あなたの不安な気持ちを深く理解し、病状を正確に把握した上で、これから進むべきより良い道を一緒に考え、歩んでいくパートナーであると考えています。
当院には、外科手術をせずとも内視鏡でがんを根治に導くための高度な技術があります。他の病院で「手術が必要です」と言われた方でも、私たちが力になれるかもしれません。
どんな些細なことでも構いません。あなたの声に耳を傾け、疑問や不安がなくなるまで、何度でも丁寧にご説明します。
勇気を出して一歩踏み出し、私たちにご相談ください。その一歩が、あなたの未来を明るく照らすための、最も重要で価値のある一歩となるはずです。私たちは、専門医チームが一丸となって、あなたを全力でサポートします。

内視鏡センター長 内視鏡科長 斎藤 豊
専門医・認定医資格など:
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化管学会 胃腸科専門医・指導医
日本カプセル内視鏡学会 指導医
日本内科学会 認定内科医
厚生労働省 臨床修練指導医(Certificate of Clinical Instructor)
ASGE(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) FASGE(Fellow of the American Society for Gastrointestinal Endoscopy)