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輸血および血漿分画製剤の使用について

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輸血および血漿分画製剤の使用についての説明文書の解説をいたします。

 

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はじめに、今回の治療に際しまして、輸血および血液製剤の使用が必要になる可能性がありますので、その使用のメリットと危険性について説明します。

お渡しする説明書の内容をよくお読みいただき、記載内容をご理解いただいたうえで、同意書に署名してください。
また、不安や疑問などがありましたら、いつでも担当医にご相談ください。
なお、緊急の場合には、救命を最優先とし、輸血あるいは血漿分画製剤の使用を行う可能性があります。
説明は後になる場合もありますのであらかじめご了承ください。

 

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目次、このような内容について、説明します。

 

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輸血療法とは (輸血の概念)

輸血療法は不足した血液成分を補充する医療行為です。
血液を血管内に注入したり、血液の成分のみを補充したりします。
血漿分画製剤という言葉は、少し聞きなれないかもしれませんが、これも広い意味で輸血療法です。
血漿分画製剤については、8ページで説明します。

 

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輸血療法は、一種の臓器移植とも言えます。

輸血は必要時に行われる重要な医療行為で、医療上の利益は大きいものの、輸血に用いられる血液は人の身体の一部ということもあり、それらが体内に入ることによる、リスクも存在します。
したがって、使用上の原則として、輸血はそのリスクを上回る効果が期待される場合にのみ行います。

 

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輸血の種類と、輸血はどういうケースに必要?、輸血の種類と、その使い分けについて、説明します。

まず、同種血と自己血についてです。
輸血には、同種血と自己血があります。
同種血は、健常ボランティアの献血によって作られた血液を指し、自己血は、患者さんご自身の血液のことです。
同種血あるいは自己血、どちらを使うかについては、患者さんの体調や手術までの期間などによって決定されます。

 

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輸血の種類別の役割について、説明します。

症状別に、使用する製剤を次のように使い分ています。
赤血球製剤は、貧血状態を緩和する役割があります。
血小板製剤は、出血をとめる役割があります。
新鮮凍結血漿も、出血をとめる役割があります。
その他の血液製剤については、担当医が具体的に説明します。

 

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血漿分画製剤の種類と適応、血漿分画製剤について、説明します。

血漿分画製剤は、血漿中のいくつかのタンパク質を抽出したものです。
淡黄色の血漿成分の中には、水分を保持する働きがあるアルブミンや、免疫成分のグロブリンの他、血液を固める血液凝固因子などのタンパク質が含まれています。
それらを成分ごとに抽出したものが、血漿分画製剤です。

注:海外から輸入した血液を原料としている場合などがあるので、「採血国」と「採血の区別(献血または非献血)」が容器・包装ごとに記載されています。

 

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血漿分画製剤の種類とその特徴について、説明します。

アルブミン製剤は、血管中の水分を保持する役割があります。
免疫グロブリン製剤は、体の免疫能を維持する役割があります。
凝固因子製剤は、血液を固め出血しにくくする役割があります。
ハプトグロビン、組織接着剤、その他の製剤については、担当医が具体的に説明します。

 

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輸血の副作用(輸血のリスク)、輸血で起こるリスクについて、説明します。

注意すべき事項は次の4つで、

  • 1つ目は、感染症です。
    献血から作られた製剤により、まれに感染症を起こすことがあります。
  • 2つ目は、輸血後移植片対宿主病(GVHD)です。
    これは身体の一種の拒絶反応ですが、現在では予防する方法が確立しています。
  • 3つ目は、溶血反応です。
    輸血することで赤血球が損傷し、その内容物が漏れ出すことで、黄疸などが起こりやすくなります。
  • 4つ目は、アレルギー、蕁麻疹、発熱です。
    軽度なものを含めると、比較的よくみられる反応です。

注:何か身体に異常を感じた場合には、担当医や看護師にできるだけ早くご連絡ください。

 

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その他の注意点として、血小板製剤の副作用を減らす処置について説明します。

血小板製剤では特に副作用が多いため、担当医の判断で、血小板製剤の上澄み部分(血漿)を除去(置換・洗浄)する処理を行うことがあります。
このような処理を行った洗浄血小板では多くの場合で輸血時の副作用を減らすことができますが、その有効性については必ずしも明らかではありません。
また処理をしたことにより、破損したり、その他の不具合により投与ができなくなるリスクもありますので、「洗浄血小板製剤」については予め担当医の説明をよく聞いた上で同意書に署名してください。

注:何か身体に異常を感じた場合には、担当医や看護師にできるだけ早くご連絡ください。

 

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血漿分画製剤の副作用、血漿分画製剤の副作用について、説明します。

血漿分画製剤は、製造過程でウイルスの除去などを行っており、輸血に比べると肝炎ウイルスなどの感染の危険性は減少しています。
ただし、現在の技術では除去できないパルボウイルス、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、その他未知の病原体により感染症の危険性はゼロではありません。
また、本製剤でまれに血圧低下などのショック状態を起こしたり、発熱、蕁麻疹などの過敏症を起こすことがあります。
各製剤のその他のリスクについては担当医が補足説明いたします。

注:何か身体に異常を感じた場合には、担当医や看護師にできるだけ早くご連絡ください。

 

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輸血および血漿分画製剤使用後の経過確認、血液製剤使用後の経過観察について、説明します。

輸血療法および血漿分画製剤使用を受けた患者さんは、健康を快復された後も定期的に病院を受診し、ウイルス感染などの検査を受けられることをお奨めします。
輸血から概ね2ヶ月から3ヶ月後に、健康保険適応でB型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、エイズ(HIV)検査を受けることができますので、ご利用ください。

 

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血液製剤使用歴の作成・保管、情報提供のお願い、血液製剤使用歴の保管や情報提供についてのお願いです。

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の規定に基づき、輸血および血漿分画製剤を使用した患者さんの氏名、住所、電話番号、製剤の名称、ロット番号(製品番号)、使用年月日などの記録を20年間以上保管いたします。
また、当該製剤にかかわる保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために必要となった場合、患者さんの利益になるときに限り、国や製造業者等に当該記録を提供することがあります。

 

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日本赤十字社への情報提供、日本赤十字社への報告について、説明します。

患者さんの血液製剤を日本赤十字社に依頼する際には、手違いがないように、患者さんの苗字(姓)を日本赤十字社の担当者に伝えるようにしています。
平成17年4月1日から「個人情報の保護に関する法律」が施行され、個人情報管理がより厳格に行われるようになっておりますが、上記の件、予めご了承ください。

 

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輸血による健康被害に対する救済制度について、説明します。

生物由来製品(人や動物など、生物に由来するものを原料や材料とした医薬品や医療機器など)については、ウイルスなどの感染の原因となるものが入り込むおそれがあることから、様々な安全性を確保するための措置が講じられています。
平成16年4月1日、新たに生物由来製品感染等被害救済制度が創設されました。
制度創設以降に生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず、その製品が原因で感染症にかかり、入院が必要な程度の疾病や障害等の健康被害について救済を行う制度です。
感染後の発症予防のための治療や二次感染者なども救済の対象となります。
詳しくは、医薬品医療機器総合機構のホームページ(外部サイトへリンクします)をご覧ください。