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抗がん剤による治療の開始時にがん関連遺伝子を網羅的に調べる遺伝子検査を用いた研究についてのQ&A

Q1:この先進医療はいつから開始されますか。

2020年3月5日に開催された先進医療会議で承認され、4月1日より先進医療としての実施が可能となりました。当院では、6月15日より検査を開始いたしました。

Q2:だれでもこの先進医療に参加できますか?

進行期または再発した、抗がん剤などの全身薬物治療が対象となるような病状のがん患者さんであって、初回のお薬治療をこれから行う予定の16歳以上の患者さんが対象です。具体的ながんの種類としては、肺がん(非小細胞肺がん)、胃がん、大腸がん、トリプルネガティブ乳がん、膵がん、胆道がんが対象となっています。その他のがんの患者さんは対象とはなっておりませんので、ご自身の詳しいがんの名称については主治医の先生にご相談ください。

なお、全身状態など細かい条件がありますので、希望された患者さんがすべて参加できるわけではありませんのでご理解下さい。

Q3:なぜ参加できるがん種が限定されているのでしょうか。

研究として、がん遺伝子パネル検査を通常診療より早い段階で実施することの有用性を検討することが可能な条件をあらかじめ、がんの専門家の意見に基づいて検討いたしました。具体的には、標準治療が存在する疾患であること、患者さんの具体的な診療経過が推定できる程度の患者さんが存在するがん種であることなどの情報を元に、本試験の対象となるがん種を選定いたしました。

Q4:先進医療の制度を用いたこの試験とはどういったものでしょうか。

現在は、標準治療が終了した(又は終了見込みの)固形がん患者さんを対象として、がんの遺伝子パネル検査(包括的がんゲノムプロファイリング検査)が保険適用となっています。今回の試験では、標準治療の薬物治療を開始する前の固形がん患者さんを対象としてがん遺伝子パネル検査を行うことで、通常診療を行うよりも、個々のがん患者さんにより合った、新薬の研究などに参加する機会(個別化治療の機会)が増えるかどうかを検討する試験です。概要に関しては、下記の図(研究の概要)をご覧ください。

Q5:先進医療の対象となるがん遺伝子パネル検査は、OncoGuideTM NCCオンコパネル システムだけなのでしょうか。

2020年2月現在、がん遺伝子パネル検査としてはOncoGuideTM NCCオンコパネル システムとFoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルの2種類が保険適用されていますが、本研究開始時点で対象となるがん遺伝子パネル検査は、OncoGuideTM NCCオンコパネル システムのみになります。

国立がん研究センター中央病院は、2013年からTOP-GEAR(Trial of Onco-Panel for Gene-profiling to Estimate both Adverse events and Response)プロジェクトを立ち上げ、日本では先駆けとなるがん遺伝子パネル検査の開発を進め、そのデータを用いてOncoGuideTM NCCオンコパネル システムの製品化及び薬事承認取得に至りました。そういった背景から、まず本研究を開始するにあたっては、OncoGuideTM NCCオンコパネル システムを用いて検討する計画といたしました。今後、他のがん遺伝子パネル検査も本研究の対象とするかどうかについては、さらに検討を進めてまいります。

Q6:がん遺伝子パネルとはどのような検査ですか?

がん遺伝子パネル検査は、がんの遺伝子を検査するものです。がん遺伝子パネル検査はがんに関連する遺伝子の変化を複数同時に測定する検査で、主に治療と関連するがん遺伝子の変化を効率的に解析することが可能です。がん遺伝子パネル検査の最も有効な使い方は、標準治療が無い、または終了した患者さんを対象に、何らか次の薬物治療を探索するために調べる検査(がんゲノムプロファイリング検査)ですが、既に保険適用となっている薬物治療(抗がん剤)の投与を検討する検査(コンパニオン検査)としても実施可能ながん遺伝子パネル検査が存在します。

がんゲノム医療に関したよくある質問は「https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/genome/050/index.html」をご参照ください。

Q7:この先進医療どこで受けることができますか。

研究の開始当初は国立がん研究センター中央病院で開始する予定です。なお、本研究に参加される患者さんは、がんの薬物治療などの検査後の治療についても、当院で継続することを前提としています。そのほかにも、現時点では、協力医療機関として国立がん研究センター東病院も参加予定となっています。

当院の開始時期については、当院ホームページ上でご案内しますので、「https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/index.html」をご確認ください。

Q8:標準治療とは何でしょうか。

標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。

詳しくは、国立がん研究センターがん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/hyojunchiryo.html参照ください。

Q9:この先進医療の費用はどのようになりますか。

原則、自費となります。先進医療としてがん遺伝子パネル検査に係る費用は56万円になる予定です。ただし、がん遺伝子パネル検査を実施するための組織採取の検査費用や、入院費用が別途必要となる場合があります。

Q10:民間保険の先進医療特約に入っていますが、対象になりますか?

本研究が厚生労働大臣により先進医療の技術の一つとして認められた場合は、生命保険会社さんの先進医療特約の対象となる可能性があります。詳しくは、ご自身が加入している、生命保険会社さんにお問い合わせください。

Q11:先進医療とはどういった制度でしょうか。

先進医療とは、未だ保険診療になっていない先進的な医療技術などではありますが、厚生労働大臣が保険診療との併用を認めたものであり、将来的な保険導入のための評価を行う臨床研究として実施する医療技術です。

詳しくは厚生労働省のページ「https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index.html」(外部サイトにリンクします)をご確認ください。

Q12:遺伝子検査(がん遺伝子パネル検査)の結果、どのような治療法が見つかるのでしょうか。

がん遺伝子パネル検査で、あなたのがんが持っている遺伝子異常が判明することがあります。その結果、あなたのがんに保険診療で使用できる薬や、他のがんに保険診療で使用できる薬(適応外薬)や、まだ国内で流通していない薬(未承認薬)が治療候補として提案される可能性があります。

特に、適応外薬や未承認薬の研究が行われていれば、他の標準治療の他、そちらの参加を検討することが治療の選択肢として考えられるかもしれません。

Q13:まだ国内で流通していない(未承認)薬が候補となった場合にどうしたらその薬を使えるのでしょうか。

国内で流通していない薬の場合は、治験があれば、それに参加することで、その薬を使用できる可能性があります。

Q14:臨床試験や治験とは何でしょうか。

有効性や安全性に関する十分なデータがない薬の投与は、患者さんの病状などの条件をそろえて、有効性や安全性を評価する研究を行います。これを臨床試験といいます。その中で、薬事承認を目指したデータ収集を行うために製造販売を行う製薬企業が関与した臨床試験を、治験と呼びます。

治験一般に関しては、厚生労働省のホームページをご確認ください「https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu1.html」(外部サイトにリンクします)

Q15:他のがんに保険診療で使用できる薬が候補になった場合は、投与可能でしょうか。

他のがんに保険診療で使用できる薬を、あなたのがんに対して使用することを適応外投与(適応外使用)といいますが、原則として保険診療で使用することは出来ません。そのため、もしそれを希望する場合には、治験や先進医療などの、適応外投与を行っている研究に参加する必要があります。

Q16:なぜ適応外薬は普段の診療で使用できないのでしょうか。

本邦では、厚生労働省が、保険診療が実施可能な範囲を厳格に定めており、原則として保険診療と保険診療になっていない療養(保険適用外の療養)とを併用することは認められていません。ただし、例外的に、限られた療養(治験、先進医療や患者申出療養など)については、保険診療と保険適用外の療養の併用が許容されています。

詳しくは厚生労働省のホームページ「https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/heiyou.html」(外部サイトにリンクします)をご確認ください。