トップページ > 診療科 > 肝胆膵内科 > 診療について > EUSやERCPの内視鏡を使った診断治療 > 超音波内視鏡(EUS)を用いた胆道ドレナージ(EUS-BD)
超音波内視鏡(EUS)を用いた胆道ドレナージ(EUS-BD)
前述のERCPを用いた胆道ドレナージは、胆管と膵管の出口である乳頭部を経由して行います。ERCPによる胆道ドレナージは以前より行われているため、処置の方法も確立しており、黄疸(閉塞性黄疸)の治療としてまず行われる治療法です。しかし、胆管挿管困難例やERCPに伴う合併症としてのERCP後膵炎の問題は無くなりません。そこで近年では胆管と膵管の出口(乳頭部)を介さない胆管ステント留置を超音波内視鏡(EUS)を用いてできるようになりました。この処置を超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD)と言います。EUS-BDはEUS-FNAの技術を用いて胆汁の流れの悪くなった胆管にステントを経消化管的に留置する処置です。どこから胆管を穿刺するかによって処置の名前が違い、十二指腸球部から穿刺する場合はEUS-CDS (choledochoduodenostomy)、胃から穿刺する場合はEUS-HGS (hepaticogastrostomy)と呼びます。これらの処置は胆管と膵管の出口(乳頭部)を経由しないドレナージであるため、処置の合併症として膵炎が起きないこと、腫瘍部をステントが貫通しないのでステントの閉塞が起きにくいことなどの利点があります。また手術後の再建腸管のため十二指腸乳頭部までのカメラの到達が困難な場面で、胃内から胆管を穿刺してステントを留置するEUS-HGS (hepaticogastrostomy)や、空腸から胆管を穿刺してステントを留置するEUS-HJS (hepaticojejunoostomy)が非常に有用です。近年急速に発展している治療法(処置)ですが、保険適応もありますがhigh volume centerに限られた高度な技術です。
EUS- choledochoduodenostomy (EUS-CDS)

総胆管と十二指腸に瘻孔を形成する胆道ドレナージ術
超音波内視鏡を用いて十二指腸球部より総胆管を穿刺してガイドワイヤー(細い針金)を留置しています。
ガイドワイヤー(細い針金)に沿わせて金属ステントを入れます。
十二指腸球部より出ている金属ステントです。
胆汁がこのステントを通して十二指腸に流れます。
EUS- hepaticogastrostomy (EUS-HGS)

肝内胆管と胃に瘻孔を形成する胆道ドレナージ術
超音波内視鏡を用いて胃より総胆管を穿刺してガイドワイヤー(細い針金)を留置し、金属ステントを展開しています。
十二指腸ステント留置後でありEUS-HGSを行いました。胃内に出ている金属ステントです。
胆汁がこのステントを通して胃内に流れます。CTでは肝内胆管と胃をつなぐように金属ステント(黄色矢印)が入っています。