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腎盂・尿管がん(上部尿路がん)

腎盂・尿管がん(上部尿路がん)とは

腎臓機能形態

腎臓でつくられた尿は、腎杯から腎盂、尿管という部分を通って膀胱へ流れ貯留されます。このうち、腎盂と尿管を上部尿路と呼びます。腎盂・尿管に発生するがんは膀胱がんと同様の性質を持っており、早期では無症状のことも多いです。自覚症状としては、痛みや他の症状を伴わない血尿が特徴的です。ただし、尿管に血液の塊が詰まったり、がんが尿管の周囲に進行して圧迫したりする場合には腰や背中の痛みを伴うこともあります。

画像提供:国立がん研究センター(がん情報サービス)

腎盂・尿管がんの検査

スクリーニング検査として、尿潜血検査、尿細胞診、腹部超音波(エコー)検査を行います。その後、主にCT検査もしくはMRI検査で腎盂・尿管の異常の有無を評価します。

腎盂・尿管がんの診断

腎盂・尿管がんの診断には逆行性腎盂造影(RP)と腎盂尿管鏡があります。逆行性腎盂造影は尿道から膀胱を経て尿管内に細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入して病変を描き出す診断法です。一方、腎盂尿管鏡は内視鏡で腎盂尿管を直接観察する診断法です。腎盂尿管鏡を行う場合は、全身麻酔が必要となり通常は入院検査となります。がんが確認された場合は、その腫瘍組織を少量採取して顕微鏡で観察し病理学的検査を行うこともあります。

腎盂・尿管がんの治療

転移がない場合は、がんが発生した側の腎臓と尿管を膀胱の一部と一緒に摘出する「腎尿管全摘術」が標準治療1となります。通常、腹腔鏡手術もしくはロボット支援下手術にて行われることが多く7-10日程度の入院治療となります。ただし、反対側の腎臓の機能が悪い場合や、腫瘍の悪性度が低い場合など、限定された条件では、尿管部分切除や内視鏡治療の適応となります。転移がある場合は、膀胱がん同様抗がん剤を用いた薬物療法などを検討することになります。

注1:標準治療とは現段階で利用可能な最も信頼のおける治療のことです。