トップページ > 診療科 > 歯科 > 研修プログラムについて

研修プログラムについて

がん患者さんの治療と生活を口腔から支援する歯科医師に!

目次 人材育成のポイント 研修の主な特徴 
   当科で研修できる具体的な症例
   コース紹介 直近での当科の臨床研究およびその論文
   研修に関するお問合せ先 印刷用資料
25-1.jpg

人材育成のポイント

がん患者さんの口腔には、がん治療中はもとより、時には治療終了後も様々なトラブルが高頻度で生じます。口腔の問題は患者の QOL に直結するだけでなく、円滑ながん治療の妨げともなるため、がん医科歯科連携による口腔管理による支援は、安全で円滑ながん治療の遂行のために今や必須のものとなりつつあります。
国立がん研究センター中央病院の歯科では、日本最多の診療実績を有するHigh Volume  Center という環境を十二分に活用し、がん治療開始前から終末期まで、がん口腔支持療法の幅広い診療経験をつむことが可能です。がん専門病院で歯科支持療法を担う歯科医師になるために必要なすべての知識と技術を習得することができます。現在、当科は歯科医師5名、歯科衛生士5名、歯科技工士1名、歯科受付1名を擁し、歯科診療ユニット4台、院内歯科技工室もあり、年間のべ患者数は14,320人(2020年度)に上ります。ご自身の技術を存分に磨いていいただける環境が整っています。
これからの病院歯科では、がん口腔支持医療は必須のスキルです。様々な病期・病態のがん患者さんに対して適切な歯科介入を提供できる、がん口腔支持療法のエキスパートをともに目指しましょう。熱意のある若手歯科医師の皆さんをお待ちしています。

研修の主な特徴

High Volume Center ならではの豊富な臨床経験が積める

がん治療中の多様な口腔有害事象に関する症例が多く、がん口腔支持療法全般の幅広い診療経験をつむことができます。がん治療開始前の予防的歯科介入(診断、治療)、がん治療に生じる全ての口腔内合併症に対するエビデンスに基づいた歯科の介入・具体的な支持療法のみならず、がん治療後や療養中から終末期の患者の口腔管理など、がん治療開始前から終末期まで、あらゆる状況でのがん口腔支持医療、当院の周術期口腔管理のシステムにあわせた歯科介入を研修できます。

希望者には臨床研究活動の支援が可能

当科では、がん治療中の口腔有害事象に関する臨床研究、基礎研究を行っております。希望する方には研究活動の支援(フィールドの提供や、研究内容の相談など)を行ないます。また学会発表、論文執筆等の活動の機会も担保されています。

当科で研修できる具体的な症例

予防的な歯科口腔管理を包括的に経験できます

がん治療に伴う口腔に関連する有害事象や晩期障害の対応として、予防的な歯科口腔管理に力を入れています。
  • 外科手術前は、患者サポートセンター内の周術期管理チームをハブとして、手術前からの口腔ケア介入を体系的に行っています。当院のシステムに沿った外科周術期の口腔管理を担当医として、多数経験していただけます。
  • 薬物療法、頭頸部放射線治療に伴う口腔有害事象に対して、治療開始前からの予防的な歯科介入を積極的に行なっています。また治療後の晩期障害に対しても、造血幹細胞移植後のLTFU 外来と連携した定期的な歯科介入や、放射線科医との連携のもと放射線治療後の歯科管理・歯科処置の相談・対応を行っています。
  • 25-3.jpg

    がん治療前の口腔機能管理

  • 25-4.jpg

    がん治療前の口腔機能管理

  • 25-5.jpg

    移植病棟への歯科往診

がん治療に必要な歯科補綴装置の作成を経験できます

頭頸部がん術後の機能・審美性の回復の一助として、専門の歯科技工士と協働しプロテーゼ(顎義歯)やエピテーゼの症例を担当することができます。症例数も症例内容も豊富です。また、インプラント併用の顎補綴の症例についても専任の歯科医師に帯同して経験することができます。

  • 25-6.JPG

    上顎癌術後の顎口蓋補綴

  • 25-7.jpg

    術後の嚥下障害に対する嚥下補助装置

  • 25-8.jpg

    無歯顎、皮弁再建症例 インプラント併用の顎補綴

  • 25-9.jpg

    補綴物の作成は専門の歯科技工士と協働

頭頸部がん放射線治療のための各種口腔内装置の作成を経験できます。口腔周辺が照射野に含まれる症例は、全症例に治療開始前の歯科管理が行われるとともに、治療支援のための口腔内装置を作成しているため、症例数も症例内容も非常に豊富です。

  • 25-10.jpg

    軟口蓋腫瘍:放射線療法予定照射中の口腔内装置

  • 25-11-1.jpg

    左舌がん:小線源療法予定

  • 25-11-2.jpg

    線源と下顎骨との距離を確保する口腔内装置

  • 25-12.jpg

    歯科技工室 技工物は年間 約 1000 例

 

コース紹介

レジデント3年コース、2年コース

対象者

採用時に歯科医師免許取得後3年目以降のもの

研修目的

がん専門病院で歯科支持療法を担う歯科医師になるために必要な、すべての知識と技術を習得します。

研修内容

がん治療に生じる全ての口腔内合併症に対するエビデンスに基づいた歯科の介入・具体的な支持療法、およびがん治療後や療養中~終末期の患者の口腔管理など、がん治療開始前から終末期まで、あらゆる状況でのがん口腔支持医療を研修できます。

研修期間

3年もしくは2年

研修の特色

がん口腔支持療法全般の幅広い診療経験を積むことが可能であり、がん専門病院で歯科支持療法を担う歯科医師になるために必要なすべての知識と技術を習得できます。がん患者に対して、あらゆる状況での歯科介入が適切に提供できるがん口腔支持療法のエキスパートを目指します。希望者には学会発表、論文執筆等の研究活動の機会も確保されています。

レジデント短期コース

対象者

歯科医師免許を取得しているもの

希望される期間で、国立がん研究センターの研修機会を活かしたい方

研修内容

がん専門病院における、がん口腔支持医療の一連の流れを研修します。

研修期間

6か月から1年6か月

研修の特徴

がん専門病院における口腔支持療法の実際に触れていただき、がん口腔支持療法を担う歯科医師としての経験を積むことができます。

直近での当科の臨床研究およびその論文

  1. 頭頸部癌放射線治療の口腔衛生管理の確立の為の口腔内細菌叢の変化に関する前向き研究(科研費 基盤研究 (C):2021- 2023)
  2. がん患者のせん妄発症を予防する抑肝散、および口腔粘膜炎の早期治癒に資する半夏瀉心湯のメタボローム解析によるレスポンダーバイオマーカーの開発ならびに「証」の可視化とその臨床応用(令和3年度AMED創薬基盤推進研究開発事業「薬用植物の利活用に資する漢方製剤等のエビデンス解明研究」)
  3. 歯周病原細菌外膜小胞の産生機構と遠隔臓器における慢性炎症・発がん連関の解明(科研費 基盤研究(B):2020-2023)
  4. 放射線療法に伴う味覚障害の 唾液メタボローム解析による病態解明と治療への応用(科研費 若手研究 (20K18493):2020 - 2022)
  5. 唾液メタボローム解析によるがん口腔合併症のリスク因子解明、及び新たな治療法の確立(科研費 基盤研究 (C):2017 - 2020)
  6. PLoS One. 2019 Aug 12;14(8):Metabolomic profiling reveals salivary hypotaurine as a potential early detection marker for medication- related osteonecrosis of the jaw.
  7. 化学療法や放射線療法に伴う口腔粘膜炎に対する新規口腔粘膜保護材の予備研究(UMIN 試験 ID:UMIN000031921)
  8. 食道癌患者へのDCF 療法時における成分栄養剤の口腔粘膜炎抑制作用の検討―エレンタール非投与群を対照群としたランダム化第 III 相比較臨床試験(EPOC2 study)―(がん集学的治療研究財団:臨床研究実施計画番号【jRCTs 071180029】)
  9. Is Oral Mucositis Occurring During Chemotherapy for Esophageal Cancer Patients Correctly Judged? EPOC Observational Cohort Study :ANTICANCER RESEARCH 39: 4441-4448 (2019)
  10. 緩和療養中のがん患者の口腔不快事象に対する、半夏瀉心湯と蜂蜜の含嗽による有効性の検討(笹川記念財団:2017 年度 ホスピス緩和ケア助成金) 終末期がん患者の口腔内不快事象に対する蜂蜜併用半夏瀉心湯の含嗽による有効性の検討 Palliative Care Research/vol.14;3 号;2019

研修に関するお問合せ先

関連ファイル

Get Adobe Reader

PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。