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研究について

病理診断科では診断に直結する外科病理学的研究も積極的に行っており、研究所、臨床各科および他施設との研究協力も積極的に行われています。2025年度における研究活動を以下に要約します。

肝胆膵腫瘍部門

肝内胆管癌311例の検討から、small duct typeの約20%症例に肉眼的な大きさの胆管内腫瘍栓形成を有する症例群があり、胆管内腫瘍栓陰性のsmall duct type症例に比較して有意に予後不良であり、胆管内腫瘍栓の存在が独立した予後不良因子になること、エクソームシークエンスから組織タイプ別の遺伝子異常の特性を明らかにした。肝内胆管がんのlarge duct typeを感度・特異度ともに高く同定可能な免疫染色マーカーST6GalNAc1を新たに開発し、生検・外科切除診断にも有用であることを示した。

頭頸部・眼腫瘍部門

頭頸部悪性腫瘍の分子病理学的解析を進めている。特に頭頸部扁平上皮癌において、p16INK4a遺伝子座のフレームシフト変異により生じるp14ARF::p16INK4aキメラ遺伝子の存在を新たに解明した。また、頭頸部腫瘍領域では、甲状腺未分化癌の分子病理学的分類、ならびに新規唾液腺腫瘍、眼球髄上皮腫、脂腺癌のゲノム解析を進めている。AMED研究費を獲得し、造血幹細胞移植後に発生する二次固形癌の研究を推進している。国際連携としては、WHO Blue Book(眼腫瘍)の執筆に寄与するとともに、国立がん研究センターが推進するアジア諸国との共同研究基盤であるATLASプロジェクト頭頸部腫瘍班に主体的に参加し、中央病理判定やゲノム解析などの共同研究を推進している。

婦人科腫瘍部門

子宮体部脱分化癌/未分化癌の診断乖離・遅延の状況、高異型度子宮体癌におけるFRαの発現とPDXによる薬効評価、子宮体癌におけるPOLE変異の簡便な検索方法とNGS法の比較性能評価、子宮頸部胃型腺癌のメタボローム解析と治療標的、高異型度子宮体癌における分子分類と免疫微小環境の特徴、等について論文を発表した。子宮癌肉腫のHER2-ADC治療の臨床実装に向けた企業との共同研究、子宮体癌のPOLE検査の臨床実装に向けた臨床性能試験に参画している。

骨軟部腫瘍部門

FET::CREB融合を有する間葉系腫瘍の診断におけるCREM免疫染色の有用性と限界について、多数例で検討し報告した。膝関節内や関節周囲に発生した脂肪腫について、臨床病理学的・遺伝子的な検討を加え、しばしば関節内外にまたがる発生部位や、非典型的で特異な組織像について明らかにした。

乳腺腫瘍部門

早期乳癌あるいは若年者乳癌症例における生殖細胞系病原性変異に関する報告を行った。ER陽性、HER2陰性乳癌症例において、閉経前後で予後に関するPgRの閾値に違いがある可能性を示唆した。

呼吸器腫瘍部門

国際的な多職種の専門家会議を招集し、新しい肺神経内分泌腫瘍の診断基準について議論し、コンセンサスを発表した。その内容は2026年改訂作業中であるWHO分類に取り入れられることとなった。また、肺葉切除と区域切除の比較試験であるJCOG0804試験登録症例における肺胞内進展(spread through alveolar spaces, STAS)を国際的な肺病理専門医を組織して病理学的評価を行い、STASが手術方法によらないことを示した。