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悪性胸膜中皮腫

悪性胸膜中皮腫の治療

1.悪性胸膜中皮腫について

肺、心臓や消化管・肝臓などの臓器は、それぞれ胸膜・心膜・腹膜などの膜で包まれています (図1)。これらの膜表面にある「中皮」という細胞から発生した腫瘍を、中皮腫と呼びます。悪性胸膜中皮腫は、このうち胸膜から発生する比較的まれな悪性腫瘍です。また、悪性胸膜中皮腫の原因は、アスベスト (石綿)が関与していることが多いことが知られています。

図1

図1の画像

希少がんセンターhttps://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/rcc/about/mesothelioma/index.htmlより転載

2.悪性胸膜中皮腫の種類や広がり

悪性胸膜中皮腫は、「上皮型」、「肉腫型」、その両方の成分が混ざる「二相型」の3種類に分類され、種類によって悪性の程度や治療方針が異なります。胸膜から発生した悪性胸膜中皮腫は胸膜全体に広がり、心膜や横隔膜、その後はさらに心臓や血管、腹腔内に進展し、やがては他の臓器に遠隔転移することがあります。

3.症状・診断

初期には症状がないことが多く、検診で異常が発見されることがあります。進行すると、胸痛や咳、胸水による息苦しさなどを感じることがあります。しかし、これらの症状は悪性胸膜中皮腫に特徴的ではないため、診断に時間がかかることもあります。診断は、胸に針を刺して胸水を調べたり、局所麻酔や全身麻酔下に胸膜の一部を採取する胸膜生検を行い、組織を調べることで行います希少がんセンターのHPもご参照ください(希少がんセンター:悪性胸膜中皮腫

4.治療選択

悪性胸膜中皮腫の治療方法は、手術・薬物治療・放射線治療があり、単独もしくはこれらを組み合わせた集学的治療を選択します。どのような治療を行うかは、症状や進行具合、中皮腫の種類、全身状態などから総合的に判断します。一般的には切除が可能であれば手術を含む集学的治療が行われ、病気の範囲が広く手術が難しい場合は薬物治療を主体に行います。病気の広がりは、CT検査やPET検査などで調べます。

また、息切れや痛みなどの症状に対する対症療法は、必要に応じて適宜行います。

1  手術

手術には胸膜肺全摘術 (Extrapleural Pneumonectomy:EPP)と、胸膜切除/肺切除術 (Pleurectomy/Decortication:P/D)の2つの方法があります。胸膜肺全摘術は、悪性胸膜中皮腫がある片方の胸膜と肺をまとめて切除する方法です。切除出来る範囲は広いですが、身体への負担は大きい手術です。胸膜切除/肺切除術は、肉眼的に病気が広がっていない部分の肺は温存する方法です。胸膜肺全的術と比較すると、切除する範囲は狭いですが合併症や体への負担は少ない術式です。どちらの手術が適切かは、患者さんの全身の状態や病気の広がりを踏まえて決定します。

2  薬物治療

i.シスプラチン+ペメトレキセド(アリムタ®)

プラチナ製剤であるシスプラチンと、葉酸拮抗薬であるペメトレキセド(アリムタ®)を併用した治療で、長期に渡って標準的に行われてきました。中皮腫の病巣が治療前に比べて明らかに縮小する割合は10人中4から5人と報告されています。1日目にシスプラチンとペメトレキセド(アリムタ®)の点滴を行い、その後は3週間ごとに、合計4-6回の投与を行います。

ii.ニボルマブ(オプジーボ®)+イピリムマブ(ヤーボイ®)

現在、手術が適応でない患者さんに対する一次治療としては、抗PD-1抗体のニボルマブ(オプジーボ®)と抗CTLA-4抗体のイピリムマブ(ヤーボイ®)の2つの免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた併用治療が標準的に使用されます。手術が適応でない悪性胸膜中皮腫の患者さんを対象とした試験において、ニボルマブ(オプジーボ®)+イピリムマブ(ヤーボイ®)の併用療法が、それまでの標準的治療であったプラチナ製剤とペメトレキセド(アリムタ®)の併用療法と比較して生存期間が延長していたと報告されました。がんの病巣が治療前に比べて明らかに縮小する割合は10人に4人程度と報告されています。1日目にニボルマブ(オプジーボ®)とイピリムマブ(ヤーボイ®)の点滴を行い、その後はニボルマブ(オプジーボ®)を3週ごと、イピリムマブ(ヤーボイ®)を6週ごとに投与します。治療効果が確認され、副作用が許容範囲内である間、継続します。

iii. ニボルマブ(オプジーボ®)

初回治療としてシスプラチン+ペメトレキセド(アリムタ®)を投与され、無効となった場合に、ニボルマブ(オプジーボ®)単剤で治療を行うことがあります。免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(オプジーボ®)の単剤治療が、二次治療として有効であることが報告されています。ニボルマブ(オプジーボ®)単剤での治療で、がんの病巣が治療前に比べて明らかに縮小する割合は10人に2から3人です。